事例紹介コラムです。
当ブログでは時々、「FOOT×BRAIN」の特集を紹介しますが、2日の放送も面白かったですね。「アギーレJAPAN誕生 理想の監督像を考える」というテーマで、監督特集です。アルゼンチン人監督とアギーレ新監督を上手く織り交ぜながら分析していました。冒頭で都並さんがいい事言っていました。「新監督はどうやって決まったのか、W杯惨敗の検証をして、誰が責任を取るのかはっきりしないと釈然としないところがある。負けたら監督もクビ、GMもクビだから」と。全くその通りです。以下、抜粋して紹介。
ブラジルW杯ベスト16進出国の監督で、もっとも多かった国籍は3人を輩出したドイツとアルゼンチン。ドイツは、ヒッツフェルト(スイス)、レーヴ(ドイツ)、クリンスマン(アメリカ)で、アルゼンチンはサンパオリ(チリ)、サベージャ(アルゼンチン)、ペケルマン(コロンビア)。今までドイツについて多く取り上げて来たので、今回はアルゼンチン監督に注目して、日本サッカーの未来を考える。アルゼンチン人の監督としては、クラブレベルでも、昨期リーガを制したアトレチコ・マドリードのシメオネ監督、戦術マニアのマルセイユのビエルサ、バレンシアのピッツィ、トッテナムのポチェッチーノなど世界に名を馳せる監督が揃っている。なぜ、アルゼンチン人の監督たちは優秀なのか。
まだJリーグがなかった時代の'92年にボカ・ジュニアーズにプロ入団。テベス、ラベッシなど世界中に幅広い人脈を持ち、帰国後は指導者やリポーターとして活躍した亘崇詞氏が解説。
アルゼンチンは南米の中で「守備を大事にする国」で、アルゼンチンサッカーは「耐え忍ぶサッカー」で日本とは内面が似ている。南米といっても一括りにはできない、それぞれのスタイルを持っている。アルゼンチン人に優秀な監督が育つ理由として、亘氏が挙げたキーワードは「世界で最も厳しい国内リーグ」で、以下の2つがその理由。
①ファン(の目)が厳しい
アルゼンチンでは、狭めのスタジアムに金網が張られてあり、金網デスマッチをしているような感覚がある。美しいサッカーを見に来るより、勝つか負けるかを観に来る。とにかく勝つことを求められる、周囲・メディアから評価され、5部(セミプロ)リーグまで新聞紙面で採点されるというプレッシャー中でやっている実力主義の世界。選手だけでなく、監督も同様で指導者の底上げにつながっている。国内リーグで1シーズン通してできるチームは何チームくらいしかない。2ケ月で3人監督が替わった事がある。そんな短期間でチームを変えるのは無理だが、それでも変えられる監督が残っていく。選手としての実績が無くても実力があれば大きな成功を掴める実力主義。事実、ペケルマン監督もタクシーの運転手をしながらコーチ修業していた事実がある。彼らの根底にあるのは「チャンスを逃さず掴むタフさ」。
②真似をしない
流行っているどこそこの戦術を取り入れるのではなく、自分は誰も持っていないこういう戦術があるとPRするところが面白い。日本は流行を追う。各々の信念を貫く一方で、アルゼンチンにはプロからアマチュアまで揺るぎない哲学がある。「最後まで負けない気持ちを持つ」ことで、技術や戦術よりも「勝利への執着心」。いいプレーをしたらとにかく褒める。それが選手の個の力を伸ばすことになる。試合後はすぐにスキンシップ。
精神的なものをアルゼンチンは鍛えて、大舞台で結果を残せる選手を作ろうとしている。フィジカルが凄くて練習が厳しい。日本人も上手さがあるが、どんな環境でも出せるのかという面で、「うまさ」の感覚が違う。どんな時でも自分達の力が出せるという事が大事。アルゼンチンリーグ経験者が、世界中で活躍できる理由は「最も厳しい」と言われるアルゼンチンで育った選手や監督は、その後どこに行っても耐えられるほどの技術、メンタルが養われる。それぐらい厳しいリーグということ。
一方でアギーレ監督は堅守速攻で、その選手起用法は・・・
①競争力のある選手
②やる気を重視
③スタメンを固定しない
亘氏(及び都並氏)の日本の育成についての危機感
①子ども達の会話が解説者レベルである事
→指導者がしゃべり過ぎ。シンプルに伝えるべき。
→指導者ほど子ども達は頭が回らないから、たくさん詰め込んではいけない(ペケルマンの助言)
②監督に必要なものは状況に合わせて、適切に伝える事。
③スキンシップが大事。
今回登場した亘氏は実は岡山のサッカー人である事を知りました。津山工業高在学の夏休みにボカ・ジュニアーズに留学。卒業後、三菱石油水島に社員選手として所属。'90年、'91年に国体に出場。'91年に退社して単身アルゼンチンに渡る。現役時代ボカ ジュニアーズとプロ契約を結び、引退後は東京ヴェルディジュニアユースで指導、現在はプレナスなでしこリーグのASエルフェン埼玉のコーチ。
まあ、番組的にはアルゼンチン人監督とアギーレ監督の話がつながっているようなつながっていないような、よくわからない部分もありましたが、強い気持ちで育成しなければならない事はよくわかりました。11日に初来日されるようですね。楽しみです。