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日本代表のこと・・・246

2014-08-28 00:57:41 | サッカー(日本代表、W杯等)

 事例紹介コラムです。
 少し前にNUMBER WEBでブラジルW杯の敗因分析について、木崎氏のコラムがありました。敗因の一つに「コンディション」とされていますが、当ブログでも本番前辺りから「ドイツW杯と似ている」証言で嫌な予感がする、終了後には戦犯の一人はフィジカルスタッフではないかと指摘していました。そういう内容で、関係者によるより具体的な内容になります。「もう終わった事」と一言で片づけるのもいいですが、日本協会がしっかり検証していないと言われる中、こういう部分はキッチリ確認した方がいいと思います。以下、抜粋して紹介。
   
【W杯の敗因の一つ『コンディション』。調整過程に浮上した3つのミス】

 指宿でかなりハードな合宿を行ない、シーズンをフルで戦ってきた選手には少し負荷が強過ぎたかもしれない」原日本協会専務理事のコメント。自分なりに敗因として、大小含めて3つ挙げられる。このうち、「暑熱対策の失敗」について取り上げる。
①:暑熱対策の失敗
②:コンフェデ杯に起因する戦術の迷い
③:個人のプレッシング技術の低さ

【本田、長友、岡崎の体が重かったコートジボワール戦】
 今回、日本代表がコンディション調整に失敗したことは、「指宿でかなりハードな合宿を行ない、ケガで2、3カ月休んでいた選手には良かったと思う反面、シーズンをフルで戦ってきた選手には少し負荷が強過ぎたかもしれない」と原専務理事も記者会見で認めている。
 特にコンディションの悪さが目立ったのは、初戦のコートジボワール戦。日本は後半から一気に運動量が落ち、わずか2分の間に逆転を許したのは体力の問題だけではないが、欧州組を始めそこから反撃に出る余力はなかった。
 原専務理事が「ケガで2、3カ月休んでいた選手には良かった」と語ったように、W杯直前に復帰した内田篤人と吉田麻也のコンディションは水準に戻ったようだが、チーム全体としては、明らかにスタミナが抜けていた。
【南アフリカでは、現地で劇的な回復が見られたが…… 】
 南アフリカW杯の準備期間を思い返すと、スイスの高地合宿までは選手の体が重かったものの、南アフリカに入ってから劇的に選手のコンディションが回復。しかし、ブラジルW杯ではブラジル入りから敗退が決まるまで、コンディションが戻ることはなかった。今回の準備期間のどこに問題があったのだろうか? コンディショニングのプロに話を聞いたところ、3つの問題点が浮上。
【暑熱順化と同時に走り込みを行なったザック】
 1つ目の失敗は、「暑熱対策と体作りを同時に行なったこと」。今回日本は、直前に鹿児島県指宿で合宿を開始。日差しが強く、湿気もあり、暑熱順化のスタートには絶好の場所に思われたが、ザック監督は、同時にここで体作りも求めてしまう。2部練習で走り込みを行ない、まるでシーズン前の合宿かのように徹底的に体を追い込む内容。この過酷な環境での追い込みが裏目に出る。暑さとハードな練習のダブルパンチで選手が疲弊。短期間では抜けないほどの疲れが蓄積。結果論になってしまうが、まずは暑さが負担にならないところで、体を作るべきだった。
 この問題点をうまくクリアしたチームがある。咲花フィジカルコーチがいるアメリカ代表。咲花コーチはスポーツ科学の論文を常にチェックし、理論と実践の両面からフィジカル強化に取り組む業界のトップランナーの一人で、ユーロ2008と2010年W杯ではドイツ代表を担当。
【体作りと暑熱順化を分けたアメリカ】
 「ブラジルW杯の準備で最も注意したのは、『体作り』と『暑熱順化』のプロセスを分けること。いきなり暑いところでフィジカルのベースを作ると、負荷がかかり過ぎるから。まずは涼しい西海岸のサンフランシスコで合宿を行ない、そしてニューヨークを経由して、暑熱順化のためにフロリダ入り。理論によれば、暑熱順化には7~10日間かかる。フロリダで7日間、強度を落としたメニューを実施した」と咲花コーチのコメント。
 アメリカは涼しい場所でまずは体を作ることに集中し、そこから暑い場所に移動して暑熱順化のプロセスに入ったということで、負荷と強度が実に良く計算されている。
 「体がフィットしていれば、暑熱順化のスピードが速まります。逆に体が疲れていると、暑熱順化のスピードも遅くなります。だから最初の段階で、きちんと体をフィットさせる必要がありました」と咲花は更に理論的な根拠をコメント。
 体がフィットしていなければ、暑熱順化は遅れる。日本は指宿合宿後、埼玉で親善試合を行ない、フロリダに移動して合宿を行なったが、そこで期待するような効果は得られなかったのはこのため。
【フロリダで午後の練習は厳禁だった】
 2つ目の見過ごせない小さな失敗は「フロリダで夕方に練習したこと」。アメリカ代表の常識として、フロリダで合宿を行なう際には、必ず午前中に練習時間を設定。午後はスコールが降り、夕方には雨が上がるものの、ものすごい蒸し暑さになるため。必要以上の湿気は、無駄に体力を消耗。しかし日本代表は、毎日16時前後から練習をスタートさせ、芝生からは湯気が立ち上り、まさにサウナ状態。ブラジル北部の暑熱対策としては“やり過ぎ”だった。
【涼しい場所に滞在する日数が長すぎた?】
 3つ目の失敗は、「涼しい場所に滞在する日数が長過ぎた」ということだ。日本代表が抽選前に、サンパウロ郊外のイトゥをベースキャンプに選んでいたように、アメリカ代表も抽選前にサンパウロに設定。ところが抽選の結果、両国ともにグループリーグの3会場がすべて高温多湿のブラジル北部になってしまった。一方サンパウロは涼しく、朝晩は寒さを感じるほど。ベースキャンプの場所が明らかに最適ではなかった。ここからの行動が日本とアメリカで違いが出た。
 涼しい場所に移動すると、日を追うごとに暑熱順化の効果は薄れていってしまうためにアメリカは、初戦前にサンパウロにいる期間をなるべく短くするために、FIFAに直訴して試合の3日前に初戦の会場のナタールに移動することを決定。結局、初戦前にサンパウロの滞在は4日間のみ。それに対して日本は、涼しいイトゥから初戦の会場のレシフェに移動したのは試合前日。7日間もイトゥに滞在したため、わずかに手にした暑熱順化の効果すらも手放してしまった可能性が高い。
 「負荷設定のミス」、「練習時間のミス」、「日程管理のミス」……。暑熱順化を意識するあまりにその対策が過剰になり、さらに調査が甘く、選手たちの体力を大会前に疲弊させてしまった。敗因は一つではないが、あまりにも準備段階のプロセスにミスが多かったと締めくくっています。
NUMBER WEB該当コラム:http://number.bunshun.jp/articles/-/821382

 確か、フィジカル担当スタッフが「今回の追い込み合宿で、数値的に見ても問題がなかった」と発言したと聞いていますが、数値には出ないものが影響したという事でしょうか。ドイツW杯でマイナスの経験をしながら、今回のブラジルW杯で何も生かされていなかった事になります。つまり、フィジカル面では世界を知らなかった。監督もW杯を知らなかったから、任せきりになったという事か。4年後は二度と同じ過ちをしてはいけません。
 ちなみに、アギーレジャパンでは、フィジカルコーチにスペイン人のフアン・イリバレン・モラス氏が就任します。調べてみるとモラス氏は、オサスナ監督時代の'02年から一緒に仕事をする腹心で、大学時代に体育学の学位を取得した理論派で、筋力や血液検査による疲労度のチェックなど個別のデータを重視した最先端のトレーニングを取り入れることで知られるとか。アギーレ氏は絶大の信頼を置いており、'12年にエスパニョールの監督に就任した際には、モラス氏をポーランドのクラブから引き抜いたそうです。
 アギーレ監督は前線からのプレスと攻守の切り替えの速さを打ち出し、メキシコ代表では積極的な守備からのショートカウンターを武器に16強進出を果たしています。理想のスタイルを具現化するためには、90分間を通して走れるスタミナが不可欠。フィジカル面のベースアップはもちろん、ピーキングなどでも現在の日本協会にはないノウハウも期待できそうです。

コメント
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