事例紹介コラムです。
ついに昨日、アギーレ監督が来日して記者会見が行われました。ちなみに正式な名前の呼称は「アギレ」か「アギーレ」かという事ですが、本人いわく「アギーレ」だそうです。今回の記者会見の問答から抜粋して、当ブログなりにコメントを付け加えて紹介したいと思います。
――選手選考はどういう点を重視しているのか?
アギーレ監督(以下A):とにかく将来性のある選手を呼びたい。代表チームに入ることに意欲的な選手、国を背負って戦う気持ちのある選手、個人のプレーではなくチームとしてプレーできる選手、試合に貢献できる選手を選びたいと思う。
――監督のサッカーの哲学は何か。
A:私の哲学は非常にシンプルだ。とにかく走る、良いプレーをする、そして勝利を収める。これに尽きる。そして私がチームに望むことは、国を代表して、国を背負って戦っているということを肝に銘じてもらいたいと思っている。代表チームの一員というものは各自が自分の責務を果たすことが重要だということだ。
→「走る」「良いプレー」「勝つ」がアギーレ監督の哲学です。「走る」という事はスタミナを求めています。欧州ビッグクラブ組では長友はいいとして、90分走れないとされている本田、帰国する度に調子を落としている香川は難しいかもしれません。「勝つ」という事は、形は抜きにして結果にこだわるという事です。世界一厳しい国内リーグであるアルゼンチンでも一番こだわっている部分。ブラジルW杯で出た「日本らしいサッカー」というのとは相反する言葉になっていないでしょうか。
「良いプレー」というのは献身的で実践的という意味でしょう。実戦でより効果を発揮でき、国際試合でも能力を100%出せる選手か。いくら上手い、高い、早い選手でも1対1で勝てない選手は難しいという事か。
--どういう視察をするか
A:自分が実際に見ることを重要視したい。国内、海外でプレーしているすべての選手に代表のドアは開いている。試合以外の時間にどういう行動を取るかもみていきたい。
→プレー面だけでなく、私生活など人間性も観察するようですね。たぶん選手同士の協調性の部分もしっかり観察して、チームの輪を乱す選手は呼ばないのでしょう。かつてのジーコと中田ヒデ、今回のザックと本田のように特定の選手としか話さなかった状況は改善して欲しいですね。メキシコ代表時代と同じく、スター選手も関係なく調子のいい選手を選んで出して欲しいです。
--理想のDF像は
DFというよりバランスを重視したい。守ることも攻めることもできる、攻守両方こなせる選手が必要。守備ができること、ボールを奪うことと奪ったボールを的確に扱うことが重要。守るのは守備陣だけの話ではない。FW、MFにも同じことを求めたい。イレブン全員が守れて攻められるチームを目指している。
→守備的スタイルにふさわしい話ですね。守備を免除されていたアルゼンチンのメッシのような選手は出れませんね。
--チームにどんなシステムを導入するか。
システムに関しては、試合の展開の仕方によっていろいろ変化していく。基本は4ー3ー3を考えている。3ー4ー3になったりもする。選手の状況、試合の展開によって変えていきたい。
→4バックをベースとして、5バックと使い分けていくのかな。3バックで攻撃的にいくフォーメーションは余り見られないのでしょう。世界の強豪相手にはしっかり守ってカウンターで勝つ。堅守速攻ですね。
――若手を重視するということだが、今年はU-20W杯予選があり、A代表戦と重なっている。A代表とU-20代表、どちらを優先させるか?
A:私の方針は公式戦優先。親善試合よりも公式戦を優先。五輪代表とA代表の公式戦が同じ日だったら、A代表に呼ぶかもしれないが、公式戦と親善試合だったら公式戦を優先。
→この辺りは日本協会のマッチメイクも問われると思います。あと、ザックジャパンのように商業主義で弱い相手ばかり連れてくるというのは、もうやめましょう。とにかく強い相手とやって欲しいですね。負けてもいいじゃないですか、ようは4年後に勝てばいいので。トルシエのようにユース代表監督と兼ねるのもいいですね。手倉森監督が不甲斐なかったら、アギーレさんが就いたらどうか。
スポナビ「アギーレ監督就任会見」全文ページ:http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/soccer/japan/2014/columndtl/201408110008-spnavi
今回の記者会見でアギーレ監督が連呼した「3C」という言葉があります。「compromiso(コンプロミソ)=義務、責任、約束を果たす」「competitivo(コンペティーボ)=諦めずに競い合う」「comprometido(コンプロメティード)=献身的に深く関わる」というフレーズです。コンペティーボは「競争力のある」という意味で、代表入りや先発を巡る激しい競争という事と、対戦相手との競争に勝つ事の意味が含まれているようです。「競り合いの強さ」であり、「勝負強さ」と「粘り強さ」でしょうか。ザックジャパンではレギュラーメンバーが固定化してしまい、肝心の本番では見るも無残でした。この3Cの単語が今後も出てくるかもしれません。ザック監督のインテンなんとかという言葉は結局中途半端に聞こえなくなりましたが、この3Cは流行って欲しいですね。特にコンプロミソは、適当な日本語訳がないというが、責務、成功を強く約束するという意味を秘めた言葉でアギーレ監督の哲学そのままで、選手にハードワークを求める姿勢がよく表れています。
当ブログについている色のためもありますが、アギーレ監督の姿勢はネル監督と似ていると思っています。「Vittoria(勝利)」を合言葉に、練習で一番調子がいい選手を中心に先発メンバーを組んで行っています。豊富な戦術を持ち、熱い監督。結果も残しています。本当に似ていると思います。
今回の記者会見で新しい技術委員長の名前が出ました。霜田正浩という技術委員だそうです。ちょっと調べてみると、Jリーグ開幕まで現役選手を続け、徳島、京都、FC東京、千葉のコーチを歴任し、'09年から日本協会入りし、'13年にはU-20代表監督を務めておられます。と、それくらいの情報しか出ませんでした。原委員長は兼任だった専務理事に専念するために、技術委員長を辞任すると口にされますが、はっきりブラジルW杯の連帯責任で辞めると言って欲しかったですね。