CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】骨風

2016-02-24 21:12:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
骨風  著:篠原 勝之

ゲージツ家として有名な「クマさん」こと、
篠原勝之さんの本でありました
自伝といったらいいのか、
私小説と読んだらいいのか、
そんなことを考えさせられたのですが、
あの風貌からは、ちょっと想像もつかなかった、
実に繊細な文章を書くという事実に
慄いた次第であります
朴訥というのではない、本当に綺麗な文章で
イメージと全然違うと感じた次第でありました

内容は、幼少の頃の話や、
出会い、別れた話なんかも含めて、
死や、生きるということについての
想いをエピソードと思い出によって語ると
そんな具合でありまして、
考えさせられるというほど重くはないけども
何か、近づいてくる死を見つめるような
不思議な気持ちになったのであります
本当に不可思議な読後感であります

北海道から、単身逃げてきたという生い立ち、
鼻が利かない、片耳が聞こえない身の上、
臆病で気弱な幼少期といった話が、
今とはリンクしないように感じるわけですが、
描かれる風景や、生き方が、なんといえばいいか、
昭和という時代を、ありあり書いているように読めて
なんだろうか、この時代だからこそできた生き方で、
そう生きた人なんでないかしらと
なんとも、懐かしむではないが、愛でるように読んだのであります
変なノスタルジーめいたものがある

印象的だったのは、低速発動機に取り付かれた人の話で、
どこにでも、そういう一風変わった趣味の人というのがいて、
また、それに同好の士というのがいるもんなんだなと
なんとも牧歌的な雰囲気を読んで楽しめたのであります
話の最後は、なんとも悲しいというか、
そうかという、諦念みたいなのを覚えたわけですが
ともかく、面白く読み終えたのでありましたとさ