京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 命の豊かさ 

2010年05月20日 | 日々の暮らしの中で
                          カメラお嬢参上!

もう35年以上にもなる昔のことだが、中学校の国語教科書にヘルマン・ヘッセ『少年の日の思い出』が載っていた。昆虫の世界に心奪われた体験もない私が、当時この作品とどこまで真に向き合えたのか…。

たった一人の理系の友人、彼は上着の胸に一冊、両ポケットにもそれぞれ一冊づつ、常に三冊の文庫本を持ち歩く読書家だったのだが、その彼から示されたのが、昨秋亡くなった日高敏隆著『春の数え方』。自分には貴重な一冊だった。

そして今、「身近な小さな命の名前を知ることは、日々の生活を豊にすると思う」とおっしゃる言葉に触発されているようだ。身近な草花のスケッチをしてみる、五感で自然と触れあう、そうした体験が自然への関心の入り口となる…と。

ハッとさせられるほどに美しい写真。昆虫や植物に向けた楽しげに弾む気持ちの動きに心を傾け、目線の先の、私には未知に近い小さな命の営みの世界へと小旅行を楽しんでいる。

昆虫が好きになるか、それはまた別問題。まず、相手の声を聞き取る楽しさがある。それに加えて知識や世界の広がり、人とのつながり、これがまた楽しい。
心をつなぐのは言葉。言葉が心をつないでいくようだ。

スケッチブックでも買おうかな。カメラを持って…。図鑑も必要?
まずは自分に身近なところから。そういえばJessieも赤いセロファンの虫眼鏡で、見えない向こうを覗いていたっけなあ。
“ろくじゅうーのてならい!”なあんてJessieの声が飛んできそうだ。

嬉々として網をふるう少年の姿をイメージしながら… 
  『エッセイ 麗しの磐梯』 http://blog.goo.ne.jp/tosimatu_1946/
コメント (6)
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