マンドリンの繊細な音が、そしてマンドリン独特のトレモロの軽やかな音色がかでるホールいっぱいに響きわたった。それにしても、二重奏、三重奏、はたまたそれ以上の多人数編成もあるのになぜ「四重奏演奏会」なのだろうか?
※ 本演奏会に三つのグループが出演した月寒高校マンドリン部の一つのグループです。
2月11日(祝・火)午後、北海道立道民活動センターホール(通称:かでるホール)において日本マンドリン連盟北海道支部が主催する「第49回マンドリン四重奏演奏会」が開催されたので駆け付けた。私は2017年に続いて2度目の鑑賞だった。
参加したグループは計10グループだったが、そのグループ名と編成数を記すと…、
◇ マンドリンデュオ Oh Meiji 〈二重奏〉
◇ Sound-Hole 〈三重奏〉
◇ トロワ クルプス 〈四重奏〉
◇ 江別マンドリンアンサンブル「コンパーニョ」 〈小編成〉
※ 江別では第三中にしかマンドリン部がなく、その後も継続を望む子たちのために結成された
「江別マンドリンアンサンブル」の方たちです。年齢層が幅広いのが特徴です。
◇ 札幌月寒高校マンドリン部「カカオ100%」 〈小編成〉
◇ トリオ デル・カーナ 〈三重奏〉
◇ 魅惑のマンドリン 〈二重奏〉
◇ 札幌マンドリン倶楽部 〈四重奏〉
◇ 札幌月寒高校マンドリン部「WANT-MOON」 〈小編成〉
◇ 札幌月寒高校マンドリン部「むじ」 〈小編成〉
この他に特別演奏として、旭川在住のマンドリン愛好家の長江和歌子さんが第26回TIAA全日本作曲家コンクール室内楽部門の奨励賞を受賞されたということで、その受賞曲「6つのマンドリンのため“Spring”」という曲を六重奏で演奏した。
※ 特別演奏をされた選抜チームの演奏です。
いずれの出演者の演奏も日常の練習の成果を発揮され、聴きごたえのある演奏がほとんどだった。そうした演奏を楽しみながら、私の中ではリード文で触れたような疑問がふつふつと沸き上がった。ラインナップを見ても分かるとおり10グループが出演した内、四重奏はわずか2グループで、他はさまざまな編成となっている。それなのになぜ四重奏演奏会なのか?マンドリンにおける四重奏とは、調べてみると第1マンドリン、第2マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロの編成となっている。う~ん??(今回の演奏会で四重奏のグループは両者ともにマンドリンチェロの代わりにギターを使用していた)
※ 典型的なマンドリン四重奏です。マンドロンチェロの代わりにギターが入っています。
私は考えた。本来マンドリンのアンサンブルは四重奏が基本なのだと思われる。だから敢えて「四重奏演奏会」と銘打っているが、参加者の門戸を広げる意味からも四重奏にこだわらない演奏会としているのでは、と…。
演奏会後にロビーで会った月寒高校マンドリン部の生徒に尋ねたところ、おおよそ私の考えを肯定してくれた。まあ、あまり固く考えずにマンドリンのアンサンブルを楽しむことができていればOKということなのでしょうね。
演奏会で気になったグループがあった。それはトップバッターの「マンドリンデュオ Oh Meiji」のお二人だった。明治大学マンドリン部のOBだということだった。年代的には50代になったか、ならないかくらいの壮年のデュオだった。「帰れソレントへ」、「星に願いを」、「トロイカ」といったマンドリン曲としてスタンダードともいえる曲を軽やかに演奏した。私は明治大学マンドリン部の北海道演奏会を確か3回ほど楽しませてもらっている。わずか二人の演奏だったが、彼らの音色からは明大マンドリン部の演奏会を彷彿とさせてくれた。
※ 明大マンドリン部OBのデュオ「Oh Meiji」のお二人です。
私は想像する。お二人とも本州に本社がある企業の札幌支店に転勤になった方ではないだろうか?(昔はよく「札チョン族」などと称されていた)たまたま同時期に転勤となり、市内のどこかでばったり再会した先輩後輩の間柄なのではないか?単身赴任の寂しさを紛らわすために「また一緒にやってみようよ!」と意気投合した末の出演ではなかったろうか?そんなことを想像したくなるような二人の演奏時の表情だった。
マンドリン四重奏演奏会…、機会があったらまた聴いてみたいと思わせてくれる演奏会だった。