石山地区の主要道沿いに建つ「旧石山郵便局」は、札幌軟石を建築素材とした洋風建築が存在感を放っている。現在は郵便局としての使命を終え「ぽすとかん」という名称に変わって、地域のシンボル的な建築として親しまれているそうである。
※ アーチ型に縁どられた入口、そして屋根上部のアーチが一般の郵便局のイメージを超えています。
札幌市内には積雪寒冷地に適した建築素材として「札幌軟石」を使用した建物がけっこう目立つ。とは言っても、戦後は建築工法の変化によって昭和30年代にその役割を終えている。そのため現在は歴史的な建造物として遺されている建物が市内に存在しているのだ。その一つにこの「旧石山郵便局」がある。「旧石山郵便局」は私たちが抱く郵便局のイメージとはやや違い、正面入口は大きなアーチ型に切り取られ、さらに正面の屋根の部分にも半円のアーチを置くという堂々たる姿を見せている。
※ 少し離れたところから見た「旧石山郵便局(ぽすとかん)」です。
※ こちらは裏側から写した一枚です。
「旧石山郵便局」は1940(昭和15)年に建設され開局しているが、私が調べたかぎりいつ郵便局としての使命を終えたのかについては残念ながら判明できなかった。郵便局としての使命を終えた後は、会社ビルに使用されたり、地域の集会施設として利用されていたりしていたが、2019(平成31)年にクラウドファンディングにより内部を一部改造などして永く保存するための再生を図ってということだ。
※ 室内には都市景観賞を受賞した盾が掲示されていました。
※ 階段を上ったところに「札幌軟石」で描かれたウォール(?)が掲げられていました。
※ 2階のカフェスペースです。
そのことで内部には札幌軟石を素材とした工作物などを販売する「軟石や」と、カフェ「ニシクルカフェ」が入居している。私が訪れた時は「軟石や」は開店していたが、カフェの方は何かの事情から休業中のようだった。
※ 入口には札幌軟石の工作物や雑貨を販売する「軟石や」の看板が…。
※ 「軟石や」で販売されていた札幌軟石の工作物の一部です。
「軟石や」で私は縦横4㎝前後の小さな家を模した工作物を購入した。説明によると多孔質の素材を活かし、アロマオイルを垂らすと香しい匂いを室内に放つということだった。
今、私は自分の部屋で以前から持っていたラベンターのオイルを垂らしてその香りを楽しんでいる。
※ 私が購入した(880円)「札幌軟石」の工作物です。この屋根の部分にアロマオイルを垂らして香りを楽しんでいます。
「ぽすとかん」…、これからも石山地区のシンボルとして在り続けるであろう。
《旧石山郵便局 情報》
◇所在地 札幌市南区石山2条3丁目1-26
◇建設年 1940(昭和15)年
◇構 造 石造(札幌軟石)
◇指定年 2005(平成17)年3月3日
◇その他 現在「ぽすとかん」としてカフェ、販売店として活用
開店時間 10:00~18:00 店舗利用者のみ内部見学可 ※火・水曜日定休日
◇問合せ 📞070-4087-2975
◇訪問日 2021年10月4日