大腸がんを除去するための医療ロボット「Da Vinci(ダ・ヴィンチ)SP」の性能は凄いらしい。そのロボット支援手術の第一人者として知られる札幌医大の竹政伊知朗教授からお話を伺った。
昨日(5月1日)午後、札幌禎心会病院が主催する「市民公開特別講座」がニューオータニインで行われたので参加した。
演題は「日本人に最も多い癌:大腸ガン治療の最前線~ロボット支援手術~」と題して、ロボット支援手術では第一人者で国際的にも知られているという札幌医大の竹政伊知朗教授が講演した。私は見逃がしたが竹政教授は、TBSの「情熱大陸」にも登場された方だそうだ。
竹政氏は最初に日本人の癌の部位別罹患率について話されたが、男性の第一位は前立腺、女性は乳房だそうだが、男女を合わせると大腸が第一位になると話された。
そこで当然、癌の部位を除去する手術が必要となるが、従来は開腹・開胸で手術が行われるため患者の身体的負担も大きく、術後の傷跡も大きかったという。それが医療ロボットの開発によって、腹部に複数の孔を開けて、そこからカメラや機器を体内に入れて癌の部位を取り除く〈多孔式腹腔鏡手術〉という方式が開発された。このことで患者の負担は減り、傷跡も小さくなった。しかし、それでも複数の傷跡が残った。その傷跡をさらに目立たなくするために、そして患者の身体的負担をさらに少なくするために開発されたのが〈単孔式腹腔鏡手術〉を可能にする〈Da Vinci SP〉だったそうだ。
講演ではその〈Da Vinci SP〉で行われる手術の様子が会場の画面に鮮やかに映し出された。その様子を見ると、まるで医師が直接手を触れながら手術をしているような鮮やかさで癌の部位が切り取られる様子が映し出された。もちろんそうした技を身に付けるために大変な修練を経ているのだと思われるが…。その第一人者が講師の竹政教授であり、竹政教授の指導で多くの医師が育成されているそうだ。
〈単孔式腹腔鏡手術〉のメリットは繰り返しになるが、「傷が小さく・目立たない」、「傷の痛みが小さい」ということで患者にとってメリットが大きい。講演の中で「整容性」という言葉が新鮮だった。「整容性」とは、がん切除などにより引き起こされる身体的な変形や凹みに対して、姿や形を整えることということだそうだが、一昔前は癌というと不治の病と恐れられ「整容性」などということを意識することすらできなかったと思われるが、時代は進んでいるということを思い知らされた。
※ 最新のDa Vinci SPですが、 執刀医は左の機器で遠隔操作し、右の機器が実際に患者の体内に入って執刀医の指示通りに手術するというシステムのようです。
さて、その最新式の〈Da Vinci SP〉だが、公開講座を主催した札幌禎心会病院はもちろんのこと、道内の病院でも導入が進んでいるそうだ。そして患者にとって朗報は、そうした最新機器による手術も保険の適用が可能となっているという耳寄りなお話もお聞きすることができた。
癌(大腸癌)に罹患しないのが何よりだが、もしも罹患した場合には心強い味方(?)が存在することを知ることができた講演会だった。