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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

老練さが魅力 札幌アルカディア室内管弦楽団

2024-05-08 19:42:02 | ステージ & エンターテイメント
 楽団員60人を超える中にはもちろん若い団員もいたが、白髪の紳士が目立ったように思えた。指揮者(坂井繁氏)もまたかなり高齢のように見えた。紡ぎ出す音に力強さは感じられなかったものの、老練さを感じさせる演奏はさすがだった。

    

 5月6日(月)午後、札幌コンサートホールKitaraにおいて札幌アルカディア室内管弦楽団「Spring Concert XXX」が開催され、友人たちと一緒に参加した。
 XXXとは30を意味する。つまり第30回のスプリングコンサートということだ。楽団のプロフィールによると、1992年に指揮者の坂井繁氏によって創立されたというから、定期演奏会の方は相当な数になっていると思われる。
 室内管弦楽団とは少人数の奏者からなる演奏団体を指すということだが、この日などは60人を超えていた。これはもうアルカディアフィルハーモニー管弦楽団と名乗っても良いのではと思われた。団員の中にはプロの演奏家も含まれているとプロフィールでは紹介されていた。
 さて、この日演奏された曲目は、
 ◇J.シュトラウス2世/ワルツ〈ウィーンの森の物語〉
 ◇F.ショパン/ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11  ピアノ 佐々木朋香
休憩を挟んで
 ◇L.V.ベートーヴェン/交響曲第5番 ハ短調 作品67〈運命〉 
〈アンコール〉滝廉太郎/隅田川 
 いずれもが超有名な曲が並んだ。
 1曲目の〈ウィーンの森の物語〉を聴いたとき、「あれっ、ちょっと元気ないなぁ」という感じを受けた。2曲目はピアノの佐々木朋香さんの際立った技が終始会場を圧した感じで、管弦楽団についての特に印象は残らなかった。指揮者の坂井氏の指揮ぶりも動きが小さく、私たち熱量が伝わってこない感じがした。60名を超える音のボリュームも感ずることができなかった。いったいどうしたのだろう、という思いが否めなかった。



 ところが!ベートーヴェンの〈運命〉が始まると、その印象は一変した。ベテランの奏者にとっては、これまで何度も何度も演奏した曲なのだと思う。そして思い入れも強い一曲なのだろう。けっして迫力のある演奏ではないものの、老練さを感ずる滑らかな音が印象的だった。アルカディアの皆さんにとっては、けっして迫力のある音を目ざすのではなく、滑らかな音を紡ぎ出すことに意を注いでいるのかもしれない。
 アンコールの〈隅田川〉も同様だった。
 他の管弦楽団とは一味違った音を求めているように思えた札幌アルカディア室内管弦楽だった。