田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

我が国のメディアは劣化しているのか?

2024-07-29 17:12:09 | 講演・講義・フォーラム等
 我が国のメディアの劣化が囁かれて久しい。先に発表された「国境なき記者団」の報道の自由度ランキングによると我が国のメディアは世界第70位と信じられないような低位に甘んじた。それを裏付けるような証言を聴くことができた講演会だった…。

    

 7月26日(金)夜、エルプラザにおいてJCB北海道支部による「緊急集会」が開催され参加した。JCBとは、「日本ジャーナリスト会議」の略称である。
 緊急集会の趣旨は、鹿児島県警が内部告発者を逮捕、メディアを家宅捜索。「事件隠ぺい」内部告発が問うもの~1通の匿名文書から考える~と題して、札幌在住のフリー(?)のジャーナリスト小笠原淳氏が事件の詳細を報告した。

    
 ※ 鹿児島県警前生活部長からの告発文書の封書を手に事実関係を述べる小笠原淳氏です。

 小笠原氏は道内の月刊誌「北方ジャーナル」に執筆されているジャーナリストであり、福岡市のニュースサイト「HUNTER」と日常的に交流している方だそうだ。
 まず事実関係をおさらいすると、今年4月3日、札幌市のライターの小笠原氏に鹿児島県警の不祥事を告発する文章が郵送されてきた。小笠原氏は鹿児島県警に知り合いもなければ、送付されてきた理由も理解できないものだったという。ただ、送付されてきた内容が鹿児島県警の不祥事を告発する内容だったために、警察の不祥事を積極的に取材している「HUNTER」と情報を共有したという。すると鹿児島県警は4月8日に「HUNTER」を家宅捜索した。その際に押収された告発文書が端緒となり前生活安全部長が守秘義務違反容疑で逮捕されたという事件で、逮捕された前部長は「本部長が警察官の不祥事を隠蔽しようとしたからだ」と告発したという事件である。
 事件はまだ落着せず、裁判に持ち込まれている現状である。
 小笠原氏は前生活部長が、なぜ小笠原氏に告発文書を送付したのか類推する。前生活部長は地元メディアに告発しなかったのは、地元メディアを信頼していなかった。そこでHUNTERを通じて小笠原氏を知り、小笠原氏に告発文を送付したのではないか、と類推したようだ。
 なぜ地元メディアを信頼できなかったというと、小笠原氏は指摘する。各県警には「記者クラブ」という組織が存在し、地元メディアと警察当局が持ちつ持たれつの関係性が出来上がっているという。つまり、警察の不祥事を地元メディアは報道しづらい体制となっているということだ。
 そのようなことは北海道においても小笠原氏は何度も体験しているという。道警では身内の警察官の不祥事人事は一切公表していないという。また、直接道警ではなかったが、
 今年2月に札幌高等検察庁検事長に山本真千子氏が就任した際の就任会見でも感じたという。山本氏というと、いわゆる「森友学園事件」の捜査を指揮した検察官だったにも関わらず、記者クラブの質問は「北海道の印象」とか「趣味」の質問に終始したという。それを聴いていた小笠原氏はたまらず「森友学園事件」に関連する質問をしたという。
 事程左様に我が国のメディアと警察、あるいは国家権力との関係性は深まっているということだろうか?
 先の「世界の報道自由度ランキング」によると、世界180ヶ国中、我が国は恥ずべき第70位である。世界の上位はノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、フィンランドと軒並みヨーロッパ各国が並んでいる。自由の国と云われるアメリカ合衆国も第55位と下位に低迷しているところは何が働いているのだろうか?あるいは、その辺りが日本が低迷している原因の一つになっているのか?
 鹿児島県警事件から話が少し飛躍したきらいはあるが、日本のメディアに所属する方々にはこうした事実を直視し、自らの姿勢を猛省してほしいと考えさせられた今回の緊急集会だった。