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映画 史上最大の作戦 №316 

2021-07-28 20:42:11 | 映画観賞・感想

 映画を観終え、第二次大戦時は兵士が単なる駒としてしか扱われていなかったことに大きなショックをおぼえた。「戦争とはそういうものだよ」と言われてしまいそうだが、弾丸の盾となり次々と倒れていく兵士たちを見て改めて戦争というものの怖さ、愚かしさに思い至った。

          

 原題は「The Longest Day」であるが、映画評論家として名声を博した水野晴郎氏が「史上最大の作戦」と改題したことによって、我が国において大ヒットとなった要因の一つだと言われている映画である。(なお、当時の水野氏は20世紀FOX社の日本支社で広報を務めていたそうだ)

   映画は1962(昭和37)年、上映時間178分のアメリカ制作である。当時はすでにカラー映画が全盛だったが、戦争映画ということで敢えてモノクロ映画で制作されたという。

          

 映画は第二次世界大戦の帰趨を決した「ノルマンディー上陸作戦」の詳細に著したノンフィクションを原作に映画化されたもので、ノルマンディー海岸の海上で作戦遂行の命令を待つ連合軍と、連合軍の上陸に疑心暗鬼となるドイツ軍、それぞれの決戦前の様子から描かれている。

 そしていよいよ作戦開始である。まずはベンジャミン中佐(ジョンウエイン)率いる落下傘部隊が闇を突いて空からの上陸を図るのだが、迎え撃つドイツ軍に狙い撃ちされる兵士が続出する。落下傘で降下中に命を落とす兵士が哀れである。ベンジャミン中佐も地上への着陸時に脚を負傷してしまう。そのベンジャミン中佐が部下の上陸の状況を視察して回った時、落下傘が樹の枝に引っかかったまま命を落としている兵士を目撃し、「直ぐに降ろせ!」と命ずる場面は痛々しいばかりである。

   

   ※ 脚を負傷したベンジャミン中佐(ジョンウェイン)は荷車に乗せられて視察した。

 その落下傘部隊の適地背後での工作を終えた後、本格的に歩兵部隊の上陸作戦に移行する。この場面は目を覆うばかりである。トーチカに籠ったドイツ兵が連合軍の兵士を狙い撃ちするなか、次々と歩兵部隊は海岸で撃たれて命を落とす。まるで命を落とした兵士を盾にしてなおも前進する連合軍は執拗な前進によってドイツ軍の反抗をついに封じ込め、「ノルマンディー上陸作戦」は完遂するのである。映画はここまでの様子を描いたものである。

 つまり映画は作戦前夜の緊迫した両軍の様子と、実際の上陸作戦の戦闘を描いたもので、映画を観ていた私はリード文で表現したように、第二次世界大戦当時は連合国側でも、兵士の命は意外に軽く扱われていたことに意外感をもった。もっとも同じ第二次世界大戦を戦った日本軍は連合国側とは比べ物にならないくらい人間の命を粗末に扱った日本軍であるから、その子孫としては、連合国軍のことを言う資格すらないのかもしれないが…。

 理想論を言っても仕方がないのかもしれないが、戦争という行為がいかに愚かなものであるのか、そのことを再確認させてもらった映画「史上最大の作戦」だった…。



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