北大の公開講座がZoomによるオンライン講座で始まった。第1回目の講座は人獣共通感染症に関する講座だったが、ウィルスの構造に関する素養などない私には難しすぎる講座だった…。
北海道大学が毎年市民向けに全学企画として実施している「北海道大学公開講座」が昨年の中止を挟んで2年ぶりに開講された。その実施方法が Zoomによるオンライン講座での実施だった。私にとってZoomの使用は始めての体験だったので緊張したが無事に受講することができた。
全学企画の本講座は、北海道大学の各学部から講師を派遣し、一つのテーマについて論ずる全8回の講座である。今年のテーマは「ウィズコロナの時代をどう生きるか “備える”」と設定された。
そしてその第1回の講座が一昨日6月3日(木)に実施された。第1回講座は、北大名誉教授でユニバーシティプロフェッサーを務める喜田宏氏が「パンデミックインフルエンザに対する備えはできた」と題されて講義された。喜田氏は人獣共通感染症に関する国内第一人者で、今年3月に北大に「人獣共通感染症国際共同研究所」を創立させた方だという。
講義の冒頭、現在世界中でコロナウィルス感染症が猛威をふるっているが、過去に発症したSARS、MERS、エボラ出血熱、等々…、これらはすべて自然界において野生動物に被害を及ぼすことなく寄生、存続してきた微生物だった。ところがこれら微生物が時に家畜や家禽、そしてそこからヒトに伝播されて引き起こされた人獣共通感染症であると説明された。このことの背景は、人間社会が経済活動を進める中で野生動物の生活領域まで進出し、野生動物の生態系と行動圏を攪乱したことによって、病原体が家畜、家禽と接近し、ひいてはヒトに伝播した結果であるとした。このあたりのことについては、私にも十分に理解でき、最近はこうした時代に入った地球のことを「人新世」と呼称し始めたことに私も注目していたところだった。
しかし、講義の方はここからが大変だった。そもそも「パンデミックインフルエンザ」とは、私たちが新型コロナウィルスの誕生前に体験した季節性インフルエンザと理解した。喜田氏はそのインフルエンザの病原体が野生生物から家畜・家禽を通じてヒトに伝播するメカニズムを解明したということのようである。講義はその解明にいたるウィルスの構造 や伝播のメカニズムについて説明されるのだが、残念ながら素養のない私にはまったく理解できるものではなかった。
難解だった講義の中で私が理解できたことは、喜田氏がこれまで研究されてきた人獣共通感染症とコロナウィルス感染症には大きな共通性があり、自然宿主である野生動物に寄生している微生物について散策し、性状解析を行い、データベース化することがこれから 発生するであろう新たな人獣共通感染症に対する備えになるということだった。
それにしても私には難解な講座だった。これまで受講した経験から全て今回のようでないことを知っている。第2回講座以降はもう少しまともなレポができるのでは、と自分自身に期待しているのだが…。