北海道内における再生可能エネルギーによる発電量はすでに45%に達しているという。その数字に私は正直言って驚いた。技術の進歩、世の中のコンセンサスが私の想像以上にエネルギー事情に変化を与えていることを知る機会だった。
2月14日(水)午前、道新ホールにおいて北海道新聞が主催する「道新 未来フォーラム」が開催され、参加して関係者のお話に耳を傾けた。
フォーラムは最初に特別講演として石屋製菓の石水創社長が「100年先も、北海道に愛される会社へ」と題して、自社の使用する電力を再エネ由来に切り替えたり、同社の全施設のCO₂排出量を実質ゼロにしたりする取り組みを紹介した。影響力の大きい同社が脱炭素の取り組みに積極的に取り組むことは道内企業への影響力も大きいものと思える。
※ 特別講演をする石屋製菓の石水創氏です。
続いて、石水氏も含めた5人が登壇して「北海道・札幌における再生可能エネルギー地産地消のこれから」と題するパネルディスカッションが行われた。
登壇したのは、
◇秋元克広 氏(札幌市長)
◇工藤 広 氏(稚内市長)
◇齋藤 晋 氏(北海道電力社長)
◇鈴木 亨 氏(NPO北海道グリーファンド理事長)
◇石水 創 氏(石屋製菓社長)
そして司会(コーディネーター)は気象予報士でフリーキャスターの菅井貴子氏が務めた。
※ パネルディスカッションの様子です。
パネルディスカッションで話される内容は先の半導体のシンポジウムよりは、私にとって身近な問題だったこともあり、かなりの程度で理解することができたように思った。その内容とは?
まず北電の齋藤社長が話された「北海道内の再エネ発電能力の潜在力(ポテンシャル)は高く、すでに道内電力の必要量の45%は再エネ電力によって賄われている」と発言された。確かに石狩市から稚内市に至る「日本海オロロンライン」を走ると、いたるところで風力発電の風車が立っている。さらに最近では石狩市の洋上には国内最大級とも言われる洋上発電の風車が稼働し始め一般世帯の8万3千戸分の発電が可能になったと報じられるなど、再エネ発電の状況は大きく様変わりしている。
ディスカッションの中では、稚内市が三方の海に囲まれ、さらには周氷河地形という特異な地形を生かした風力発電に力を入れ、稚内市の1万7千世帯に対して17万世帯分の再エネ発電が可能となったことから、余剰電力を札幌市に提供する連携協約を このほど締結したということが報告された。電力の大消費地である札幌市としては、今後も道内各地と同様の連携を図っていきたい、と秋元市長は明言した。
そして今、過疎地帯で発電された省エネ電力の有効活用のための蓄電池の開発も急ピッチで進んでいるという。
こうした状況を考えていったとき、少なくとも北海道においては遠くない将来に省エネ電力だけで賄える時代が到来するのではないか、とさえ思えてしまう。
そのためにということで数々の提案もなされた。
そのために一つとして、発電・送電の効率化が求められるとした。特に送電網を整備することは、将来北海道で発電された電力を本州の電力消費地帯に送電するためにも必須の課題といえる。
また、私たち自身の生活スタイルのさらなる見直しが必要だとも強調された。(例えばスマート電化住宅の推奨、省エネ文化の教育・宣伝etc.)
さらに道内においては、まだ実用化されていない水素発電も有力な発電源として注目されているところだという。
最後に齋藤北電社長は、半導体関連企業やデーターセンターなど電力消費の大きな産業が進出する状況にあって、電力不足の事態に備えつつも、再エネ発電に注力しながら北海道の2050年カーボンニュートラルの実現に貢献したいと力強く語った。
周囲を海に囲まれた北海道は風力発電には絶好の地である。少し前には考えられなかった洋上発電が可能となったことから、道内のおける風力発電の勢いは増すばかりではとも思われる。果たしてどんな未来が待っているのか?興味津々である。