札幌で活動するプロミュージシャンによるフル編成のビッグバンド「札幌ジャズアンビシャス」は、その確かな音と会場を圧するような音量で会場に詰め掛けたジャズファンを魅了した。ジャズファンというにはおこがましいが、私もまたその音に魅了された。
昨日(1月29日)午後、札幌コンサートホールKitara(小ホール)において「札幌ジャズアンビシャス」の第6回定期演奏会が開催され、友人の誘いもあって参加した。
「SAPPORO JAZZ AMBITIOUS」とは、札幌を拠点に活動するプロミュージシャンが2012年に結成したフル編成ビッグバンドということだ。様々な事情があって大ホールが使用できなかったこともあり28日と29日と2日間にわたって開催されたのだが、チケットは2日間ともソールドアウトということで人気の高さをうかがわせた。
演奏はまずグレン・ミラーのMoonlight Serenadeから始まったが、プロミュージシャンらしいクリアな確かな音を聴いてグーッと期待が高まった。コンサートを聴いた際の恒例にしたがって、プログラムを紹介すると…、
第1部 ※ 札幌ジャズアンビシャス単独のステージ
◇グレン・ミラー/Moonlight Serenade
◇デューク・エリントン/It Don’t Mean A Thing(If It Ain’t Got That Swing)
〈スウィングしなけりゃ意味ないね〉
◇フレデリック・ロウ/I Could Have Danced All Night(踊りあかそう)
◇ベルト・ケンプフェルト/Strangers In The Night
◇ジョージ・ガーシュイン/I Got Rhythm
◇ルイ・プリマ/Sing, Sing, Sing
第2部 ※ 若い演奏者やボーカル(後述)とのコラボレーションのステージ
◇ハロルド・ロボ、ニルティーニョ/Tristeza with ボーカル
◇ニコラス・アンシュフォード、ヴァレリー・シンプソン
/Ain’t No Mountain High Enough with ボーカル
◇ビル・チェイス/Get It On with ユースメンバー
◇ボビー・ティモンズ/Moanin’ with ユースメンバー
◇デビット・マシューズ/Ambitious Theme with ユースメンバー
アンコールはジャズテイストの「見上げてごらん夜の星を」を出演者全員で演奏してコンサートを終えた。
本コンサートの特長は、最期の「アンビシャス テーマ」を作曲したデビット・マシューズがピアノ兼音楽監督を担っていることがある。彼はグラミー賞の受賞歴があるなど本場アメリカでかつ訳されていたジャズミュージシャンであるが、2013年から札幌ジャズアンビシャスの監督をされているということだ。
また、定期演奏会において専属で司会を務めるのが元STVラジオアナウンサーとして活躍した喜瀬浩さんというのも一つの特長だった。
ところで第2部に登場したボーカルとユースメンバーであるが、ボーカルの方は「SAPPORO CITY JAZZ VOICES」と称して、2021年に結成された女性ボーカルグループ6人である。私は昨年の「パークジャズライブ」で彼女たちのステージを観ていた。(聴いていた?)その時と比べると「ずいぶん洗練されたなぁ」という印象を受けた。
ユースメンバーというのは、2020~2022年の3年間のプロジェクトとして、ユース年代を育成してきたということだが、そこで育った若い世代のメンバー6人がステージに登場した。ジャズ演奏には曲間においてソロ演奏が付きものであるが、6人のメンバーはそれぞれ札幌ジャズアンビシャスの同じ楽器の奏者と共にソロを演奏したが、サックスやトランペットではプロ奏者に対して遜色がないほど(とは言ってもその差は歴然としているのだろうが…)の演奏を披露してくれた。対してトロンボーンはおそらく楽器としては難しい楽器なのだろう。素人が聴いてもその違いが明らかだったことは楽器の特性によるものだろう。
とあれこれと感じながらも、一曲一曲を楽しませてもらった。トリオやクワルテット、クインテットなどのジャズ演奏もいいが、ビックバンドのジャズはその迫力、厚みからいっても聴き応え十分である。これからも機会があるかぎりビッグバンドを楽しみたい。