「美しい話し方」など私には特別な関心はないと思っていたのだが、内容的には「相手に伝わりやすい話し方」的なお話だったので、私にとっても参考になる内容の講座だった。
昨日午後、(公財)北海道学習協会が主催する「ほっかいどう学」かでる講座の今年度第1回目の講座があった。テーマは「美しい話し方~報道番組の裏側~」と題してフリーアナウンサーの長谷川宏和氏が講師を務めた。
長谷川氏というと北海道民のシニア以上の方にはHTBテレビのアナウンサーを長年務めていた方なので記憶されている方もいらっしゃると思う。長谷川氏は21年間HTBに勤めた後、平成10(1998)年に退職され、その後はラジオを中心にフリーアナウンサーとして活動されているとのことだった。
お話は、アナウンサーとして身に付けた「正しい話し方」と、TV時代に体験した報道番組に関することの二つの話題について話された。その中から前半の「正しい話し方」についてレポしてみたい。長谷川氏は「早口で話すことには意味がない。正しい話し方はゆっくりと正しく話すことである」と強調された。特に言いにくい言葉をゆっくりと正しく話すことが肝要である、として「見守られながら」とか、大相撲の力士名の若貴景(わかたかかげ)を例示として挙げられた。
そして「話し方の五つの基本」を示された。その五つとは…、
① 発声 ~ 大きい声を出す(腹式呼吸を心掛ける)
世の中に大きな声を出す人が少ない、とも指摘された。
② 発音 ~ 一音一音正しく発声することが大切である。そのため正しく口を開くことである、と指摘された。
③ アクセント ~ アクセントとは声の高低である。例として「はし」を挙げられ「橋」と「箸」と「端」の違い説明していただいた。
このアクセントが標準語と関西弁では全く違うと指摘した。
④ 鼻濁音 ~ ガ、ギ、グ、ゲ、ゴを鼻にかけること指すが、これらの単語が2文字目以降に来た時には鼻濁音で発声することが正しいそうだ。
⑤ 無声(音)化 ~ この説明が難しい。「さちこ」の「ち」、「まちこ」の「ち」、
「つき」の「つ」、「きく」の「き」の発音は無性音だという。無性音を言葉で説明するのは難しい。上記の言葉を実際に発してみて、単音で発する場合との違いを感じてほしい。
続いて「話し方にメリハリをつける四つのテクニックを教えていただいた。そのテクニックとは…、
〈1〉大小(強弱)
〈2〉高低
〈3〉緩急
〈4〉間を取る
以上のようなテクニックを駆使すると、話がより相手に伝わりやすくなるとした。そして最後に長谷川氏は、そうしたテクニックも大切だが、より大切なことは相手に伝えようとする「気持ち・心」、さらには「視線」が重要であるとした。
人の前で話をする機会などそれほどあるとは思えないが、日常の話し方の中にも応用できることが含まれている内容で参考になった。
今年も様々な人材がラインナップされた「ほっかいどう学」かでる講座がこれから毎月開催されるのが楽しみである。