私にとって待ちに待った本格的オペラの鑑賞だった。4か月前にチケットを購入し、12月にはカバーキャストによるコンサートを観て知識を蓄え、そして迎えた昨日の本番だった。豪華キャストと札響のフルオーケストラによる本格的なオペラは期待に違わず素晴らしい舞台を堪能することができた!
昨日(2月28日)午後、札幌文化芸術劇場hitaruが主催するオペラ「フィガロの結婚」が道内唯一オペラの上演できるhitaruで上演された。これまで何度かオペラ的な舞台を体験したことはあったが、本格的なものは初めての体験だった。
演目は楽聖モーツァルト作のオペラ作品として最も有名な「フィガロの結婚」である。演出は国内において何度もオペラを演出している三浦安浩氏(カバーキャストによるコンサートの際に解説された)、指揮者も国内のさまざまなオケでタクトを振っている奥村哲也氏といった方々が指導され、キャストは道内在住あるいは道内出身者からオーデションで選ばれた13名(26日の公演とはほとんどが違うキャストが出演するダブルキャスト制だった)、そして演奏は40人を超える札幌交響楽団の方々という豪華布陣だった。(その他に専属の合唱団30数名、ダンサー9名も出演)
※ 演出を担当した三浦安浩氏です。
全4幕の幕が切って落とされ、まず驚かされたのが舞台の高い天井に届かんばかりに設えられた葉を落とした高さ10メートルもあるかと思われるほどの大きなポプラの木だった。これは解説書によると本来の舞台はスペインのセヴィリアなのだが、その舞台を冬の札幌に設定するという試みであると説明されていた。このポプラの木が全4幕中ずーっと舞台上で存在感を発揮していたのが印象的だった。
※ 練習の一場面と思われますが、ポプラの木の存在感がお分かりいただけると思います。
ストーリーはオリジナルに忠実な内容で展開され、その内容についての説明は省略するが、それぞれがオペラ出演の経験者ばかりとあって、その歌も演技も堂に入ったもので素人の私が論評できるものではない。また、札響の演奏とも合い俟ってノーマイクで堂々と場内の隅々にまで届く声量はさすがであった。
途中2度の25分の休憩を挟み、午後2時開演、午後6時終演までの4時間をたっぷりと18世紀のスペインの宮廷内の悲喜劇を堪能させてもらった。
※ ヨーロッパのオペラハウス的なhetaruの場内です。私はこの日右手3階の最前列でした。
それにしてもオペラ鑑賞というのは意外に疲れるものであることも教えられた。というのも、本公演はイタリア語での上演だった。そのため舞台脇には日本語字幕が用意されていた。キャストが歌う曲の意味を理解するためには日本語字幕を追わねばならない。併せて舞台のキャストたちの動きも追わねばならないのだ。上演中、その動作を繰り返しながらの鑑賞は緊張の連続であり、終演を迎えた時にはドッと疲れが出た感じだった。
と本格的なオペラを堪能した私だが、こうしたオペラは 大掛かりな舞台装置、多人数のキャスト、そして本格的なオーケストラと開催する費用もかかるために鑑賞料も当然高価である。はたして年金族である私に次に鑑賞する機会は訪れるのだろうか?