超高齢社会が進む中、“心不全” が急増しているという。“心不全” の状態にならないために、もし不幸にして “心不全” の状態になったら悪化させないために、何をどうすればよいのか、専門の医師からお話を聴いた。
昨日(11月22日)、札幌市医師会館において「さっぽろ北部心不全ネットワーク」が主催する「心不全と共に生きる」と題する市民公開講座が開催され受講した。
講座は3部構成になっていたが、次のような構成だった。講座名と講師は次のとおり。
◇第1部 「心不全とは」 北大病院循環病態内科学 助教 竹中 秀 氏
◇第2部 「心不全チーム医療の実際」 愛心メモリアル病院
理学療法士 山本 拓也 氏
看護師 高野 朱美 氏
◇第3部 「心不全とともに生きる」 北大大学院 医学研究院
循環病態内科学教室 教授 安斉 俊久 氏
※ 講演をされる安斉北大医学部教授です。
といった構成だったが、三つの講座をお聴きする中から私の中で印象に残ったことを中心にレポしたい。
まず “心不全” というのは病名ではないということだ。“心不全” とは、心臓に何らかの異常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分送り出せなくなった状態をいうそうである。
“心不全” を引き起こす原因としては、高血圧、心筋梗塞、弁膜症、不整脈などがあるという。安斉教授が分かり易い例えを紹介してくれた。それは “心不全” の病態は、痩せた馬が重たい荷台を引っ張っている馬車のようなものだという。そうした痩せた馬に鞭を打てば、馬は無理矢理にでも坂道を上ろうと頑張り坂道を上ることができるかもしれないが、そうした状態が長く続くと、やがて坂道を上れなくなるという。そうした痩せ馬の状態がまさに悪化した “心不全” の病態だという。
さて、そうすると“心不全” を引き起こす原因の高血圧、心筋梗塞、弁膜症、不整脈を防ぐ重要なポイントは、
① 塩分を控える。
② 禁煙を励行する。
③ 肥満を防ぐ。
④ 過労やストレスを避ける。
⑤ 適度な運動をする。
ことだというが、不幸にして “心不全” に陥った場合でも、病態の進行を防ぐためにも大切なポイントだと安斉教授は指摘した。
私が今回の講座で初めて知ったこととして、“心不全” に一度罹ると全治するということはないという。ということは一度 “心不全” を発症すると、できるだけ病状の進行を遅らせることだという。そうした取り組みを具体的に紹介してくれたのが愛心メモリアル病院のお二人だった。何度も入退院を繰り返しながら、懸命にリハビリに務める人、残念ながらそうではない人の例を示して注意を呼びかけられた。
いずれにしても、やはり高齢になるに従い日常の生活に留意することが必要だということを痛感させられた。
妻から「今年になって、病気関連の講座を受講することが多くなりましたね」と言われたが、振り返ってみると妻の指摘のとおりである。意識はしていなかったが、やはりどこかで自分の身体の変化を感じている証なのかもしれない…。