もちろん歴代受賞者の業績は素晴らしいものである。ところが「記録」的にみると、はたして唯一無二のものかといわれるとそうでもないようなのである。歴代受賞者の名前を言われると、「あっ、あのスポーツの○○だ」と選手の顔と名前を思い出す。つまり「記録」よりも「記憶」に残るような活躍をしたか、メディアでの露出度が高かったか、あるいはその選手に「華」があったかで、それで記憶に残っているような選手ばかりなのである。残念ながら女子レスリングは、浜口親子の頑張りもあるが、いまだにメディアでの扱いはメジャーではない。五輪連覇くらいでもあまり話題にならない。五輪3連覇して、かつカレリンの記録を抜く世界選手権10連覇して、そこでようやく国民栄誉賞なのかいなーと思うと極めて不公平感を感じざるを得ないのである。実は彼女の記録はプロレス好き、レスリング好き、元柔道部の自分にしてみれば、とてつもなくすごい記録なのである。国民栄誉賞とは業績はあっても、知名度が高く、華がある人ではないともらえないのかと勘ぐっていた。ところが今回、吉田選手が受賞したということは、「華」を凌駕するほどの有無を言わせぬ「記録」なんだなと実感しているのである。これは実はものすごい出来事なのである。