津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

潜渓先生書簡

2010-02-13 14:17:11 | 歴史
 潜渓先生書簡とは、(草野)潜渓先生が書き残した文書といった意味であろうか。
ここに書かれているのは、「久武兄弟御長柄之者討果候事」と題されて、宮村典太が収集した膨大な記録
の一点として「吹奇与勢」に納められている。内容は「風説秘説」と同様無礼討ちの記事である。

         明和三年七月十日之夜五ツ時分、坪井報恩寺観音参群
         集之中ニ、竹部出屋敷居住する久武武助嫡子権之助十五
         才、次男金吾十三才なるか参利子に、御長柄之者銀拵之
         脇差さしたる若者、観音堂之せく中ニ而、権之助ニ除
         ヨト云しを、権之助慮外ものト云けれハ、右之もの権之助を
         押付るを金吾か後江より若ものをさしけれハ、若者はつ
         と云て手を放ス處を権之助抜打ニ眉間を切、地蔵堂
         之前ニ倒れるをとゝめさしたり、久武も兼而貧窮故、子
         供之衣類もいやしく見へける故、若者あなとりたると聞
         ゆる由、然れは花好(華美?)をこのむハ驕りなれ共、士は士之
         相應之衣類もあるへき事也、服ハ身の章といへること能々
         心得へし、及不及由礼ならねハならぬる也、することを得
         すしてするも悪し、することを得てせさるも悪事なり
         人多く集る處二ハ同道なしニ不可往と云事、退は老人之翁也
         森崎小左衛門咄二、始権之助刀を抜処を若者柄を取たる故、不
         得止脇差を抜シテ又手ヲトメタルトキ、左之手にて脇差ニ而
         切付けれハ権之助がエリ二喰付ハナサス処を弟刀二て首をサシテハナス
         時二権之助起挙り切たるよし
        同に居る
         上田宇助組、久武兵助父子三人宇助宅ニ而頃日之儀始末宜敷
         段、御家老中より称美、兵助兼而家訓よろしく被存候由、申渡

 久武兵助の家祖は、長曽我部元親の家老職を勤めた久武蔵之助親直である。
     土佐・長曽我部家若年寄・二千石 兄・久武親信の死後長曽我部家老職を継ぐ。
     長曽我部元親の弟吉良親貞の子・吉良親実らと元親継嗣等をめぐり対立、これら
     を切腹させた。長曽我部滅亡後加藤清正に千石にて随身。加藤家改易の後牢人。
 初代千助が原城にて武功被賞 新知三百石(綿考輯録・巻五十)にて召出された。

 服装云々の話は合点が行かぬ。        
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御駕籠者(陸尺)

2010-02-13 10:15:30 | 歴史
 陸尺(六尺)とは、輿(こし)や駕籠(かご)を担ぐ人足のことをいう。いわゆる駕籠舁(かごかき)のことで、大名家に於いては御駕籠者といわれる。先にご紹介したサイト「古文書で読む参勤交代」にある「大名行列絵図」 http://www.ab.auone-net.jp/~xe2918/ezu/ を見ると、藩主の駕籠は前後六人の陸尺によって担がれている。しかしよく見ると交代要員が残り18人ぐるりと駕籠の後からついてきている。次から次に四交代で担いだということであろうか。陸尺(六尺)とは、力者が転じたものというが、身長が六尺とかいうことも関係しているのではないか。ちなみに「陸」とは建築用語にもあり、「ろく」とよませて水平である事を意味する。

 井上ひさしの著書に、「おれたちの大砲」という面白い小説が有る。
将軍様の尿筒役に草履持、髪結に駕籠の者、馬の爪髪役という、下役の若者五人が徒党を組み、公方様の危機を救うべく大計画をひっさげて、横浜から京都、江戸へと進んでいく・・という話だが、ここに登場する茂松という駕籠の者の話が可笑しい。(他の四人も同様だが・・)
家は代々、西丸駕籠之者(45人)の頭に次ぐ家格で、五十俵五人扶持である。ところが今は町の駕籠かきふぜいに落ちぶれて、先の五人組に入り込んだ。落ちぶれの原因は彼の身長の寸たらずである。家は相撲取りあがりの妹婿が継いだ。

 細川家の御駕籠者とて同様のことであったろう。六尺の大男を24人集めようとは大変な事である。代々の家柄ではなく、選抜されて御駕籠者に採用されたのではなかろうか?
熊本市の中心部の駕籠町通りは、藩政時代御駕籠者が住まい(30数軒?)した所である。今では六尺の大男に代わり、若者たちが闊歩するアパレルや飲食店などが建ち並ぶ町である。
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