津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

「松井章之の江戸旅日記」から

2011-06-05 09:19:41 | 歴史

 家老・松井家は将軍家からも知行をいただいている。為に将軍家の代替わりのときなどには御禮が義務付けられている。天保12年(1841)当主・章之が江戸に上っているが、これは家督相続による御目見の為である。このときの旅の様子を章之自身が日記に書きとめている。その内容は「熊本藩家老・八代之殿様 松井章之の江戸旅日記」として、「八代古文書の会」が刊行された。(2008/10)

章之一行は4月7日八代を発ち、28日伏見に着いた。29日には先代藩主・治年女就姫の嫁ぎ先久我家を訪れている。就姫は天明七年(1787)の生まれであるから、このときは55歳である。(生まれた数ヵ月後父・治年は亡くなった)そしてこの時期には養子・久我建通(一条忠良男子)の代と成っている。就姫の実子・志通は文化7年(1810)10歳で亡くなっている。解題に「中納言とあるのは彼女の子供で、虎丸というのは孫にあたる人のことと思われる」とある。実際は「中納言=養子・一条忠良男子・建通」であり、就姫の子・志通の跡を継いだことになっている。建通の生母は細川齊茲女・邰姫である。(細川家史料では見受けられないが、一条家では富子と名乗っていたらしい)就姫からすると姪の子を養子として迎えたことに成る。女系(細川家系)を頼んでの相続であることがわかる。

建通はこの年27歳、通久なる人物が久我家を継いでいるが、久我家史料によると「天保12年生まれ-長男」と紹介されている。松井章之が久我家を訪れた年の生まれである。ならば章之の接待に当ったという虎丸なる人物ではない。「解題」がいう「孫に当る?」虎丸とはいったい誰なのか・・・?

この謎解きに相当の時間を費やしたが、そろそろギブアップという処か・・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「旦夕覺書」 花--15

2011-06-05 08:47:51 | 旦夕覺書

一、正保四年六月長崎え黒船渡海七月朔日之朝松平右衛門佐様長崎江御着被成候由此方よりは長岡勘ケ由殿御人數召連七月二日長崎へ着之由其前黒田殿・鍋島殿家老共承かけに鷹之場より直に参り申者も有之候由此方より御人數を連勘ケ由殿七月二日に被参候事一番と長崎の町人共も申由一騎かけに参り候而は御用に立申間敷候 定而公儀之御吟味にて町人共迄申たるにて可有之候 此一巻之覺書を一冊寫置候故略す

 参考: http://blog.goo.ne.jp/shinshindoh/e/3c2689655d2949415c6eb3da50027969

一、右之時分は光尚公御在江戸にて熊本より御飛脚不参候に御城には度々御注進有之 或時光尚公御登城被遊候刻井伊掃部様被仰候は今度長崎にて御家来之監物黒船之儀に付愚意を申上候儀委細達上聞候 定而年寄可申と思召候 随分御不便を被加尤江戸表之御供抔も御免被成緩々と居申候様に御心可被候 天下之御用に立申候由掃部頭様御咄被成候而一両日仕候て熊本よりも委細申成候由松平阿波守様御家老稲田九郎兵衛も此方之監物殿におとらぬ者之よし上月八右衛門度々咄承申候 稲田父子稲田宗心七十餘大坂冬陳に三人共に家康公・秀忠公より御感状并御腰物金子拝領仕候者共にて候

一、妙應院様御幼少之刻は御目附衆御両人づヽ熊本へ御越被成御逗留候 阿蘇大宮司より此二三日鳥井にくちなわ大小澤山に出申候不思議なるよし申来候 其刻熊本御家老中寄合にて御目附衆御通之日阿蘇御田植御祭禮にて人馬差支申候夫御祭禮可被差延候哉と御讃談の砌に右之通申来候 就夫神事は格別にて候間御目附衆江申遣可然と熊本にて御讃談相済申事其日之辰之刻にて御座候に阿蘇鳥井くちなわ一ツも見へ不申候由熊本へ申来候て御家老中も何れも神慮明らか成事被成候由其刻松村太兵衛は阿曾御郡奉行勤被申候哉息松村久右衛門拙者相組にて度々咄被申候 ケ様之事は昔より不珍事に候得共末になり候 両人の心信少かたとへは御國中之神佛共に殿様之御蔭にて社の修理御祭禮も調申なとヽ諸役人も悪敷心得社木等も御用と申せば切用申上に御存知被成ぬ事ながら神罰はのかるヽ處なきと申傳候 能々ケ様之事をも各々若く候間御了簡候て其役にて無之候ても忠義之信御座候はヾ何卒申立の成間敷事とは不存候 十人九人は笑止成事などヽ咄たる迄にて候 我子などの煩申時は神に祈念願立申候 其心をもつて主君と奉存候はヾ萬事道に叶ひ可申候 堀内権之助は十四之時能首取被申候へども人に奪れ被申候由父母被申候は武士は就中神を敬信し申者にて武の冥加に叶ものにて候 随分心掛被申候様にと教られ如形信被申候由拙者共祖母妙庵皆共にも咄聞被申候 老父も左様に被申候 又心得違にて神之精進或は我家の内に神を納候て信じ申者多く候 必々神之精進又屋敷之内は不及申候 左様にはせぬ者と被申候皆共幼少之刻あ羅太成薬師御座候いか様何とぞ心にかヽる事御座候哉薬師坊へ預申とて遣申候事覺申候 能々察し申候へば尤成事社は昔より地を吟味仕る事と見へ申候 神職さへも真意に叶ひ申様には成兼可申候 俗人として猶以成申間敷候 或は乱心に成申候か其家に災難有之物と老父被申候 尤なる事と奉存候 能々工夫めされ随分/\神を敬可被候 若き時より拙者は如形敬申候
     心たに誠の道に叶ひなはいのらずとても時は守らん

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする