草枕 (岩波文庫) | |
岩波書店 |
夏目漱石の著・「草枕」は熊本を舞台とする漱石の代表作だが、金春流肥後中村家の中村勝氏は、草枕は「能そのものですよ」と常日頃おっしゃっていた。
氏のHPの中の、「草枕と道成寺」という一文には、『作者自身が、作中に「しばらく此旅中に起こる出来事と、出遭う人間を能の仕組と能役者の所作に見立てたらどうだろう。」と、第一節(次第、名乗)に予告していたのである。』と書いておられる。
http://www1.odn.ne.jp/higo-nakamura/kanwa8.html
先の熊本史談会の例会に於いて、「草枕と能」について一文を書きましたと報告があった。
そして氏のHPにもUPされていた。題して「能と草枕考」である。
http://www1.odn.ne.jp/higo-nakamura/kusamakura.html
「能の家」に生きてこられた氏だからこその、読むものをして納得させるすばらしい御説である。数年ぶりに漱石の「草枕」を読みながら、漱石の文学の奥深さと共にただただ感じ入っている。
東北大学には、漱石に係る300件にも及ぶ論考が集められているが、「能」との関わりについて論じられるのは初めてのことのようだ。
http://tul.library.tohoku.ac.jp/modules/coll/files/sdoc.pdf
二年ほど前、峠を越えて草枕の舞台となった所を車で訪れたことが有る。
また訪れてみたいと思うのだが、古希の爺さまにはちょっと簡単には参らぬ。
萩やススキが秋風に揺れる頃が良いのだが・・・扨々如何