津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

「旦夕覺書」 鳥--3

2011-06-20 07:15:59 | 旦夕覺書

一、私歩の御使番の砌江戸竹御門未た小屋なと出来不申候刻宗宇御門の向に居候刻御供仕御歩行
  にて被成御座候 御側のわかき衆中四五人被召連被成御座候刻折節五月朔日にて青山之方の昇
  なと被成御覧 あれ見候へ青きは竹木にまきれ見へ兼候白きと赤き黄なと能見へ候 何も心を付け
  差物抔可仕事と御意にて馬役の者共に申付候而駒なと遠乗にのり申昇を見せ申様に被仰付候
  折節馬場に節々出申馬乗り候自分故細々遠乗に可参と悦申ひたと尋候へとも失念被仕候か右之御
  意御馬役終に承り不申由 扨々不及是非心底様々御用も多く出頭にて御意を夫程大事に不存候故
  名は書付不申 皆々拙者に十も十四五も弟に候へとも何も疾く果申候御主の罰と存候
一、同名文左衛門熊本にて被参候刻大坂に金紋のあをり可申遣とて注文調へ候所へ被参候て扨々御
  家中に居申不存候哉御家のとう油のあをり其外皮籠或は具足箱刀箱は御旗本衆御心安衆より前
  々より御貰ひ被成候 角入拝領の刀箱挟箱見申候へ第一戦場にて人に能きと御申候
  光尚公御意に小身なる者は不断指申大小を陳場へ差申心得にて柄頭小尻前々より差被申候
  御意の通ともっともに存候て覺居申候
一、角入老へ弾蔵殿若き時陳桶の儀申来候節居合候而承候 若き者の申越候故申付遣候 わりこなと
  役に立つ事にてなく候 常々給申わんを糸そこを引切候て持参能きと古人申たる由御申候 島原の刻
  承候に箱或は桶の類皆々ひしけ申候 皮の類にてなく候へはくたけ役に立不申候由拙者陳場馬ひし
  やく革にて申付候 柄杓は長岡與八郎殿中間持候て御馬屋に参候時見覺申新知拝領之時申付候
  陳桶革にて塗り不申からし申候て置候事関内殿見被申扨も/\能物數寄とて事の外誉被申候 親は
  討死祖父越後は隠なき武功の人兄の孫九郎は追腹段々の血筋の人誉られ嬉敷存候つる
一、角入老江戸にて御咄被成候 老父三盛は古き事覺居申し候へとも話數寄にて事永く成候故尋置不
  申事残念至極と神以被仰聞候
  萬葉に  物はたヽあたらしきよしひたはたヽ
             ふりぬるのみそよろしかるへし
  此歌の心と存候
  平九郎殿へ申候
  古き事御聞被成度むかし御慕ひにて覺候事共申候へと被仰聞候御尤に存候て覺書の内あらため
  如斯段々書付進申候 最早致出府御咄申事は有間敷候 折々御覧被成候様にと存候 拙者も御同前
  に存書付置候 自然御心得にも成候へば本望に存候 各へ申入候何もと申心にて段々思ひ出候書道
  候故御意なども無勿體存候へ共書置申候

一、山田竺印江戸へ被参候刻古佐渡殿・古監物殿へ暇請に参被申候へは御両人共御入國迄は存命
  ましく候間貴老へ申置候 在江戸中に御機嫌見合被申し両人申上候と可被申候 妙解院様たとえば
  御客御座候ても即刻御廣間番見かけ候間御口上も不承誰様御出と申上候へは其儘御出被成候故
  御書院へ御通候而夏は御汗も不被入冬は火鉢も出申さぬ内に御客衆に御逢ひ被成候
  真源院様は御病気にて御痔を御病被成候事多く御自由に被成候ては中々おそくたとへば御客方御
  出被成候而も御口上御聞被成扨御取次衆も段々に有之申上候故御書院へ御通候にも御客方御待
  兼被成候 右御両所さまの間を御思慮被成候て宜敷様に被遊候様に申上候へとの由拙者幼少にて
  茶の宮仕を仕候て覺へ申候 御尤成被仰上と書付申候

一、江村節齋先年咄被申候は珍敷傳承り申候 松平左京太夫様御出被成候 此頃法輪院様へ参候へは
  其刻左京太夫様御入候て御意被成候は節齋は御城の様子存間敷候間咄聞せ候 越中殿公儀わゐ
  唯今同列に無之様子に候間悦申候へ しかしながら親父肥後守殿には被及と思召候 唯今に肥後殿
  は若く候時より病気にも有之候哉唯今に肥後殿間と申御禮済申前御休息所有之候 冬は火鉢出候
  よし唯今御三家の外に火鉢出申事は無之候 是を思召候へば肥後守殿には被及ぬと思召との左京
  様御咄にて初て承ると節齋申聞候 乍恐能々了簡仕候へば保壽院さまは 権現様の御嫡孫にて岡
  崎信康公の御孫にて其筋目故かと奉存候 御家にて終に不承候事とて節齋被申聞候 此儀は多分
  御聞及び被成間敷と書置申候 三十一にて御逝去被成候へば其内の儀と奉存候

コメント
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