一、貞享改元きのへ子の年
此年より右之通 公義へ被召上置候御知行を前之
通に御給人衆へ被遊御返候併村々前々之通には不
被遣御かへ被遣候も有之候 此年より高五石作取
に中村庄兵衛殿より被下候其通之御書出庄屋惣兵
衛に爰御證據御書出被下置候 此年薬王寺再修
一、同二きのとの丑の年
此年三月十六日より阿蘇神主殿御夫婦御上京之御
用心にとて被召連令上京候 此年江戸より被仰出
候御觸之趣
道中宿々往還之荷物貫目御定りよく重くも有之一
駄荷乗掛け共によき馬出之候歩行之荷物も重候故
人足も添を出し令迷惑候由に候間御定之貫目より
重からざる様にと拙者方より何もへ彌可相觸旨御
老中被仰渡候以上
貞享二年四月日 高木伊勢守
一壹駄荷物四拾貫目
一乗かけ下弐拾貫目 小付共に 跡付共に
一輕尻下 五貫目 此外おもく候はゞ本馬同断
一人足一人に五貫目持
一乗物かき六人 加子四人
一、同三ひのへ寅の年
此年従江戸被仰出候趣御觸の覺
一筆申觸候江戸へ大廻船にて荷物差廻被申候羞有
之候はゞ武具馬具下田三崎両所之御関所にて御改
有之儀に候間堅つみ廻し被申間敷候以上
寅の三月日 段々下り御郡衆
此年寺社へ被 仰渡候趣覺
寺社内へ召置候者前々より之宗旨をかへ候か又は
旦那寺をかへ候はゞ八才以上は切支丹之誓書日本
之誓紙仕らせ取寄召置可申候以上
寅の三月日 段々下御郡奉行
一、同四ひのとの卯の年
此年之春より夏にかけ上野瀧本七越明神太守様被
遊御造営候御遷宮に阿蘇宮川大膳其外阿蘇神主殿
仰付にて同氏安藝掾も参勤致候 此年之正月十二
日より厳島宮之造営に仕掛り申候棟梁大工廣瀬長
四郎大工數人四月十二日に首尾整遷宮委細は棟札
に書出候 此年與市郎被遊御誕生 此年之四月
より生類哀之御ふれ従公方様被仰出候