一、元禄改元つちのへ辰の年
此の年之春熊本坪井に火事 此の年之正月犬馬哀
可申のむね捨馬仕間敷旨従公方様被仰出候寺社中
に木倉御惣庄屋所へ御郡奉行御出被仰渡候猪鹿之
類までもころし申間敷旨被仰渡候 此の年正月六
日之夜には鳥ぬす人あり 此の年より法楽醫致
候
一、同二つちのと巳の年
此年熊本せんだんばたに火事出来致候 此年七月
大水 此年甲佐御やなばの御茶屋御とき被成候
此年よりひもの新はぬり又は樽などもあたらしき
をかけながしに仕間敷候つけ木もすゝきたけの皮
などにて仕候様に偖又きぐ色々御法度被仰出候
此年よりのり物のぼうはゞせまく仕候へと従公方
様被仰出候而はゞせまくなり候 此年田口わた内
のともつく 此年舟津河原ともつくめうと岩の向
ふ
一、同三かのへむまの年
此年之三月十七日妙解院殿様御五十年忌御法事
妙解寺にて被遊御執行候 此年より津志田村田口
村のいでめうと岩より井手口に成る 此年なをな
を捨馬仕間敷候けが馬の事かたく従公方様被仰出
候 此年之春きゝん 此年より捨子仕間敷旨従天
下様被仰出候 此去今より山林きりはらひの田畑
成る多し 此年宮島宮跡願之通に被仰付運上銀上
納致候
一、同四かのとの未の年
此年之二月熊本坪井大火事 此年より坪井ひろ小
路になる 此の年より御國中そこ爰の道廣く被仰
付候 此の年はしかにて小兒共多く死す 此年有
安村前大川の石かきよりをちいのしゝをち候て死
候を公義へ申上候へは御横目被遣つちを三尺うが
ち其猪御うつめ被成候 此年阿蘇のけふり前代未
聞にあれさせられ候 五月日あそ中やみとなりひ
るたいまつをともす此年高野山衆徒行者出入落着
従 天下様被 仰付行者中數寺遠流罪 此年當
所の山木従 公義太分剪賣被成候 此年へばのさ
ふた糸田村わきになをる
一、同五みつのへ申の年
此の年藤崎御靈屋御修理御結構にあそはされ候
此の年之四月八日に二夜三日嚴有院様之御法事藤
崎御位牌所にて被遊御執行候 此の年公方様之御
祈祷寺ちそくいんの御火事番太守様へ従公方様被
仰付被遊御勤行候 去今年より山田の井出糸田村
わきにさぶたなをり當年より水かゝる 此の年よ
りすりの玉ぎわ道すだり糸田より井手につきたる
とも大道になる 右の井手又は道の見立御普請奉
行志水清右衛門是迄にかぎらずそこ爰に彼仁見立
被申候 此の年之十月五日の夜西より東へ白気立
つ