ホトトギスの鳴き声 https://www.youtube.com/watch?v=B9iCdYj-VIE
大変唐突な話だが、便所の中でホトトギスの声を聞くと大病に成ったり、悪くすれば死んだりするという俗説がある。
ホトトギスという鳥は古来その鳴き声が好まれ、万葉集以来文学上においても取り上げられている。なんでこのような説が生まれたのだろうか。
熊本に住んでいるとホトトギスに御目にかかることはなく、私は一度もその声を聴いたことはないように思う。
ところが最近、阿蘇地方にそのためのお呪いの言葉があるということを知った。
「ホトトギス今日は初音と思うなよ、昨日もきいた今日の古声」(宮地・乙姫)
「ホトトギス今日は初音と思うかよ、聞き知りきいた今日の古声」(宮地)
ということは、阿蘇地方にはホトトギスが生息しているということだろうか。
「便所でホトトギス」の話で有名なのは、文豪夏目漱石の逸話である。
時の宰相・西園寺公望が時の名だたる文豪を集めて三日にわたり宴を催したが、漱石にも当然案内状が送られてきた。
鬱陶しく思い欠席をするために「時鳥厠半に出かねたり」という句を添えて返事を出したという。「時鳥が鳴いている、あいにくのことに、厠に入っているために直ぐに出て行って聞けないのが残念だ」という意であるとされる。
江戸っ子らしく小気味よく痛快である。
この話はサイトでも多く取り上げられているが、出典は漱石の妻・鏡子さんの述による「漱石の思い出(29朝日入社)」である。
ホトトギスの鳴き声を聞いたことのない私としては、高邁な文学作品や和歌・俳句などどうもピンと来ないのである。
卯の花の、匂う垣根に
時鳥、早も来鳴きて
忍音もらす、夏は来ぬ
ホトトギスの初鳴きを「忍音」ということをしったのも50歳過ぎてからでしたねー !!!!