津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■時鳥厠半に出かねたり

2015-08-21 08:54:07 | 徒然

           ホトトギスの鳴き声 https://www.youtube.com/watch?v=B9iCdYj-VIE

 大変唐突な話だが、便所の中でホトトギスの声を聞くと大病に成ったり、悪くすれば死んだりするという俗説がある。
ホトトギスという鳥は古来その鳴き声が好まれ、万葉集以来文学上においても取り上げられている。なんでこのような説が生まれたのだろうか。
熊本に住んでいるとホトトギスに御目にかかることはなく、私は一度もその声を聴いたことはないように思う。
ところが最近、阿蘇地方にそのためのお呪いの言葉があるということを知った。

          「ホトトギス今日は初音と思うなよ、昨日もきいた今日の古声」(宮地・乙姫)
          「ホトトギス今日は初音と思うかよ、聞き知りきいた今日の古声」(宮地)

ということは、阿蘇地方にはホトトギスが生息しているということだろうか。

「便所でホトトギス」の話で有名なのは、文豪夏目漱石の逸話である。
時の宰相・西園寺公望が時の名だたる文豪を集めて三日にわたりを催したが、漱石にも当然案内状が送られてきた。
鬱陶しく思い欠席をするために「時鳥厠半に出かねたり」という句を添えて返事を出したという。「時鳥が鳴いている、あいにくのことに、厠に入っているために直ぐに出て行って聞けないのが残念だ」という意であるとされる。
江戸っ子らしく小気味よく痛快である。
この話はサイトでも多く取り上げられているが、出典は漱石の妻・鏡子さんの述による「漱石の思い出(29朝日入社)」である。

ホトトギスの鳴き声を聞いたことのない私としては、高邁な文学作品や和歌・俳句などどうもピンと来ないのである。

         卯の花の、匂う垣根に
              時鳥、早も来鳴きて
                   忍音もらす、夏は来ぬ

ホトトギスの初鳴きを「忍音」ということをしったのも50歳過ぎてからでしたねー  !!!!
 

コメント
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