酒苦く布団薄くて眠られぬ夜
あまり上手とも思えぬこの句は、漱石大先生の句である。何となく渥美清の句ではないかと思わせるが、「上手とも思えぬ」は渥美さんに失礼である。
渥美さんの句について書かれた「風天 渥美清のうた」は私の愛読書で、本棚のすぐ手の届く位置に置いてすぐ眼を通せるようにしている。
彼の句は哀愁に満ちた句が多くてそして悲しい。
股ぐらに巻き込む布団眠れぬ夜
いわせれば文句ありそなせんべい布団
が、一方温かみにあふれたものが多い。まさに「寅さん」そのものである。
ゆうべの台風どこに居たちょうちよ
秋の野犬ぽつんと日暮れる その他いっぱい。