二一五
申渡覚
一地侍・札筒・玉薬員數被相積可被指上候、玉之儀は札銀
を以夫々之筒ニ逢候積ニ誘可被置候事
一船差之儀は、走者有之時は近所之庄屋、或牢人各見はめ
次第ニ心當仕被置、馳付候様可申付置候事
一御郡/\之儀、豊前ニて被仰付置候揃道眼(服ヵ)、前廉牧・宗
像より渡置候外ニ不足有之候は、被調各頂可置候事
附、其郡/\之紋書付可給事
一質物幷賣置候男女共、先代ニ走り申者之儀、各被申上通
得御意候得は、先代之儀御構無御座候、御代ニ走り候者
急度可申付旨被仰出候事
右之條々、内々可被其意候、委口上ニ申渡候、以上
寛永十二年正月十九日 河喜多五郎右衛門
乃 美 主 水
御郡奉行中
ニ一六
御書出之寫
一留守之時つかへ候儀、横目申付候間、其段諸奉行へ届置
可申事
一國中ニ迷惑ニ詰候者自果シ事、郡奉行え目安を上候得と
可申付候、又理不藎ニ迷惑ニ詰候由申候ハヽ、其一門ニ
懸り可申候
一國中ニて不濟公事、町奉行可相濟候、公事之日限相定、
横目を呼可濟候、六ヶ敷公事奉行え相談可申候事
一郡奉行も公事之ひはん申付候得共、横目を呼候得て可申
付候
寛永十二年二月十三日 西郡刑部
乃美主水
河喜多五郎右衛門
堀江勘兵衛
沖津作大夫
御郡奉行中
二一七
覺
一御蔵納ニ掛り候物は何ニても、御代官衆村々え割賦ニて
可被相調候、同代米、當時/\ニ渡し、重て代米之本切
手御代官衆より可被調候事
一人馬其外何ニても御郡中より出候物は、惣庄屋手永切之
割賦は御郡奉行衆より割賦被仕、可被申觸候、惣庄屋出
合、郡中之出物之割賦仕儀、可為停止事
一御郡中より出可申銀米、幷惣庄屋手永之墨紙筆代米、其
外何ニても割賦仕、村々より可出来銀、惣庄屋手永限ニ
何宛之出来何程と書立、御郡奉行衆御吟味之上判形ニて
御惣庄屋へ可被渡候、其判形之書立之奥ニ、村々之割
賦惣庄屋より仕申觸、可相調候、然時は御郡奉行判形不
見届米銀一切出申間敷候、度々村々小庄屋・百姓書付可
有御取置事
一惣庄屋・小庄屋役高引様之儀、前廉御郡奉行中相談ニ
て被相定候由ニ候、然とも其定のことく無之所有由ニ
候、向後ハ小百姓迄も合點仕候様、庄屋高何程引候との
帳を、庄屋手永ニ調、庄屋・百姓之判形を可有御取置
候事
一竹木之山之儀は、御山奉行・山口捌、惣庄屋は不存候様
可仕候事
右前廉より如此旨候得共、在々ヶ様無之所有之由申候間
申觸候、末々迄承届候様可被仰付候、恐々謹言
寛永十二年四月廿日 乃美 主水
河喜多五郎右衛門
沖津作大夫
瀬戸五兵衛
御郡奉行中
二一八
為御意申觸候、各支配之御郡廻在之時、泊々ニて薪幷乗
馬之糠・草・藁、其所より出可申候、代銀無ニ取可被申
候、尤荷物付馬一疋宛賃銀無村継馬被下候、則皆共よ
り差紙相渡申候、挟箱・笠箱等ハ、日雇夫ニ為持被申筈
ニ候、御定之賃銀を遣し雇可被申候、且又其所有合之野
菜等ニても取被申間敷候、相應之直段ニて買調可被申
候、詰御郡之面々自然病中等ニて、宿駕を借被罷通候時
も可有之哉、御定之賃銀夫を雇可被申候、其砌無支様、
兼て宿筋致沙汰置可被申候、恐々謹言
寛永十二年六月十日 乃美 主水
河喜多五郎右衛門
沖津作大夫
瀬戸五兵衛
御郡奉行中
二一九
一筆申入候
一御免定候事、土免或は毛上ニて相定、御免請状差上候は、
御蔵納ハ御郡奉行より相定御物成を書付、判形候て、一
村切ニ可被相渡候、御給知は定物成を書付、其給人或は
下代判を仕、庄屋被相渡候得と可被申候、此儀小百姓迄
承届度可存儀候間、如此ニ候、勿論水損・風損・旱損・
蟲喰・鹽入・穂枯出来候ハヽ、御蔵納は御郡奉行可相理
候、熊本へ被申上候ハヽ、則御内檢奉行を被出、毛上相
應ニ定可被遣候、御給知は其給人有躰ニ定可被申候、前
廉も被仰付儀ニ候得共、彌下々迄被申渡候事
一御國中借物、米は三割・銀は貮割、此内歩合輕分は相對
次第之事
一往還之旅人・人馬幷渡舟、風雨・夜中たり共無滞様ニ可
被仰付候
附、道橋修理不可有油断候事
一御惣庄屋・小庄屋墨紙筆等之代米、所ニより多少有之由
ニ候、然間疑敷可存候條、員數を定、別紙ニ書出候様可
仕候事
一御郡役之事、人馬多少、又ハ所ニより指引吟味ニ可被申
付候事
一御惣庄屋・小庄屋、非分之儀を御百姓ニ申懸候ハヽ、則
御郡奉行え可申達候、其理を被聞届、正敷可被申付候、
誰人不寄、理不盡成儀を御百姓に申懸仁有之候ハヽ、小
庄屋・惣庄屋を以、随分理を申、無承引候ハヽ御郡奉行
所え可申達候、勿論御郡奉行・御代官・御内檢奉行被申付
儀に候、御百姓迷惑仕儀有之候ハヽ、是又奉行所え可申
上候、其理を糺可遣事
右之條々前廉も被仰出候儀に候ま、下々迄堅可申渡候事
寛永十三年正月十一日 河喜多五郎右衛門
椋梨 半兵衛
堀口 勘兵衛
沖津 作大夫
御郡奉行中