津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■「市井雑式草書附録」(10)

2019-02-22 13:47:31 | 史料

 七ニ 天保元年八月
一造酒之儀、例年新米を以仕込來候由之處、一昨年凶作以
 後は、専古米を以新酒仕込候哉ニて、銘々前廣ニ餘計之
 御蔵預買込候故、下タ米無多事、米屋/\賣米乏相成、
 下方一統及難澁候様子ニ相聞候付、當年之儀新穀出來迄、
 造酒仕込候儀は、町在一統堅被差留旨、所々町え及達候
 事

 七三 天保十年亥十月十九日町方日帳
一造酒本手賣買之儀、御府中え有來候本手在中え賣出難相
 成、又在中之本手を熊本え買入候も被差留候様、追々願
 ニ寄、其通被仰付候處、此節僉議之趣有之、市在共賣買
 融通被差免候事

 七四 文政十二年九月 天保元ノ所ニ有
一空躰之歩札商御制禁之段は、追々嚴敷御沙汰ニ相成候通、
 彌以堅相守候儀勿論之事候處、間ニは御蔵預歩札之取組
 をも被差留候様ニ相心得候共ニては無之候哉、正路之商
 賣筋可有御構様無之候得共、畢竟、其末羽書商賣抔と唱、
 紛敷空躰之歩札商賣躰ニ成行候節は、時ニ臨歩入之根方
 をも被差留儀も有之事候處、左候ては一躰商賣不自由ニ
 有之、米穀一篇商賣之者共は、別て可及難澁候、仍て御
 蔵預を歩入之取組いたし候儀は無御構被閣候間、勝手次
 第相心得候様、若其末被禁置候空躰之歩札商賣筋ニ至候
 ヘハ、屹ㇳ其筋被遂御吟味儀は不及申、右歩入取組共ニ
 直ニ被差留筈候様、能々正不正之境を勘辨いたし、決て
 紛敷取遣致間敷旨、町中え及達候事
一歩入札賣買之儀、一切御制禁之段は、追々及達置候通ニ
 候處、近年間々心得違之者も有之哉ニ相聞、不都合之至
 ニ候、依て已來歩札之儀左之通
一歩入札を振出候ものは、質屋より歩入ニ取候丈ヶ之御蔵
 預ニ、歩札を添、町御奉行所詰別當手元え差出候様、左
 候得は、御蔵預は右別當手元え預置、歩札ニは官印を用
 相渡、其札は一統賣買被指免候、尤右手數之儀は、朝五
 時より八ッ時限り差出可申候
  本行歩札利上且流方いたし候節は、一々町御奉行所詰之別當
   手許承合取計候様
一現米入用之者、札を買取候ハヽ、取引之算用は、札屋直
 々ニいたし、其趣受込別當え申出、札を差出候ハヽ、預
 置候御蔵預相渡、其札は直ニ消方被仰付候
  但、現米所持いたし居候とも、前條之手數無之、私二
  札を振出候儀は可為停止候
 右之通、此節仕法立被仰付候條、向後彌以空躰之歩札幷
 札歩羽書躰之儀、決て無之様、自然心得違之者於有之は、
 御吟味之上、歩札等御取上は勿論、屹ㇳ御咎メ被仰付筈
 候、此段懸々不洩様、可有通達旨候、以上
    天保十四年九月      町方根取中
        出田彌一郎殿
 此一條委敷儀は
 町方日帳ニ記ス

 七五 天保十四年十月十一日町方日帳
一質物利足之儀、壹歩以下ニて取引いたし候様、去年一統
 及達置候處、質屋共願出之趣有之儀付、御僉議之趣を以
 百目以上之質物是迄之通利足壹歩、百目以下之質物歩合
 之儀は、御達以前取引いたし來候御達以前取引之歩合ハ壹歩半也振合ニ准
 し、成丈引詰、双方得便利候様、請季月數之儀は、以前
 之通都て二十一ヶ月限ニ被仰付旨、惣月行司別當え及達
 候事

 七六 同年十一月朔日町方日報
一質物利足之儀、前條之通候處、此節道具類ニ限、利上之
 儀願出、右道具類利合之儀ニ付ては、内輪無餘儀事情も
 有之、衣類同様之利足ニては、難澁之趣ニ相聞候付、猶
 追ては日仰付筋可有之、夫迄之處は、先道具類ニ限、百
 目以上壹歩半ニて取引いたし居候様、惣月行司別當え及
 達候事

 七七 弘化三年午閏五月廿八日町方日帳
一當座質と唱、纔宛之質物取入候儀は、以前より之事ニて、
 是迄利分月限等、格別制限も無之、其儘被閣候處、軒別
 異同有之様子ニ付、以來、衣類は百目以上壹歩、以下壹
 歩半、道具類百目以上壹歩半、以下貮歩、都て受季月數
 は二十一ヶ月限、尤、拾匁以下は利分月限共、衣類道具
 之無差別、是迄取遣いたし來候振ニ准、重疊引詰、双方
 辨利之申談いたし候様、右質物取入候者共え、差寄得斗
 申示候様、町御奉行所詰別當え書付相渡候事

 市中質屋共より利上之儀ニ付、願書被相達置候、依て御
 僉議之筋有之、百目以上ハ壹歩半、百目以下ハ貮歩之利
 合を以致取遣候様、町中不洩様可被達旨候、以上
   慶應二寅年      町方根取中
    十一月廿三日
    惣月行司        當年米双場大壹俵
      友枝丑之助殿    二付三百五拾匁也

 七八 慶應四年辰三月朔日
一當時諸式高直ニ相成、質物利合引合兼候處より、質物取
 入候者、間ニは取止候者も有之、小前之者迷惑いたし
 候付、衣類道具共錢高之高下ニ無差別、總て利合三歩ニ
 被仰付度、且、質物流月之儀も二十一ヶ月之處を、以來
 十二月限ニ被仰付度、町御奉行所詰別當共より相達候
 付、願之通利上被差免、限月之儀は是迄之通相心得候様
 及達候事[付紙]「是迄ハ二十一ヶ月也」
  但、委細は諸式直段調帳ニ記録有之候、且、川尻町よ
  りも同様願出候付、如本文差圖いたし、四ヶ所控川尻
  之坐ニ致記録候事

 

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■入れ墨談義

2019-02-22 12:48:45 | 論考

 熊本大学副学長(医学部・皮膚科教授)を勤められた小野友通は、熊本大学学術リボリトリーに「いれずみ物語」を30編に渡り紹介されている。内容は多岐にわたりこれがそれぞれ大変面白い。
昨今は若者の入れ墨指向や、外人観光客の入れ墨問題などで関係者は頭を悩ませておられる様だが、この様な状況を先生はどうお考えだろうか。
ご意見をお聞きしたい気がする。

     (いれずみ物語 ; 1) ・谷崎の「刺青」 : 皮膚から肌への一瞬 

     (いれずみ物語 ; 2)病理学者ウィルヒョウといれずみ : センチネルリンパ節概念の元祖 

     (いれずみ物語 ; 3)桃のいれずみ : 霊力,性そして龍 

     (いれずみ物語 ; 4) ・イ草作業のつらさと"そらうでいれずみ" 

     (いれずみ物語 ; 5) ・ヘナによるいれずみ 

     (いれずみ物語 ; 6) ・南嶋の女のいれずみ : 針突 

     (いれずみ物語 ; 7) ・入れぼくろ : 客と遊女の駆け引き : 心中立

     (いれずみ物語 ; 8)背中のいれずみ : 五社秀雄の決意

     (いれずみ物語 ; 9)細川藩の除墨帳 : 社会復帰のための施策を取り入れた『刑法草書』

     (いれずみ物語 ; 10)ニコラス皇太子の刺青 : 両腕に龍の彫り物

     (いれずみ物語 ; 11) ・三島由紀夫のいれずみ : 薔薇か錨か, 弁天小僧か

     (いれずみ物語 ; 12)いれずみ奉行 : 遠山桜か,生首か

     (いれずみ物語 ; 13) 龍の彫り物 : 北京は四合院で想う九紋龍史進 

     (いれずみ物語 ; 14) 風呂といれずみ : 寅彦も,芙美子も驚いた 

     (いれずみ物語 ; 15) 女のいれずみ : 刺青に通ふ女や花ぐもり 

     (いれずみ物語 ; 16) カポシといれずみ : 世界で最も有名ないれずみ男

     (いれずみ物語 ; 17)顔のいれずみ

     (いれずみ物語 ; 18)東大のいれずみ標本 : 背中の「桜姫と清玄」も彫り物絡み

     (いれずみ物語 ; 19)永井荷風のいれずみ : 「こう命」「壮吉命」

     (いれずみ物語 ; 20)いれずみ大臣 : 小泉又次郎逓信大臣 

     (いれずみ物語 ; 21)唐獅子牡丹 

     (いれずみ物語 ; 22)蜘蛛のいれずみ : 「さがり蜘蛛」と「のぼり蜘蛛」 

     (いれずみ物語 ; 23)絵身いれずみ : その極みはMimi-nashi Hōichi

     (いれずみ物語 ; 24)スポーツ選手のいれずみ : 吉葉山の覚悟 

     (いれずみ物語 ; 25)ベルツのいれずみ : いれずみは着物である

     (いれずみ物語 ; 26)戦国時代のいれずみ : 島津勢500余人,討死前夜その腕にいれずみ

     (いれずみ物語 ; 27)スティグマとしてのいれずみ : アウシュヴィッツの囚人番号

     (いれずみ物語 ; 28)梅のいれずみ : 篤志解剖第一号 遊女美幾

     (いれずみ物語 ; 29)いれずみは他人の手を借りた自傷行為 : THE ILLUSTRATED MUM の場合

     (いれずみ物語 ; 30)文身文化 : 白川 静の漢字の世界

 

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■北海道地震

2019-02-22 07:09:07 | 徒然

 昨晩北海道では胆振を震源とする地震が起きた。昨年大きな被害が出た地域だ。
すぐさま札幌の友人K氏にメールを入れた。札幌は前回同様震度5だと報じている。
熊本の人間は3位の地震には慣れっこになってしまったが、度々ではないが4が発生するとやはり身構えてしまう。
K氏のお話だと、胆振は今日は随分寒い予報が出ているとのこと、こんな中停電が起きて居れば生死の問題となる。
漸く復旧の途に就かれた方々の落胆を思うと、同じ地震経験者としてなんともやるせない気持ちにさせられる。
ただただ皆様のご安全を願うばかりである。

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■「市井雑式草書附録」(9)

2019-02-22 06:51:51 | 史料

 六六 文政十一年十一月
一熊本町中ニ御蔵預致所持居候者は、石高名當之書付幷歩
 入質札共ニ差出候様及達、差出候處、現預前幷諸御間ニ
 歩入致置候分共ニは大數貮萬八千石餘有之、相對歩入札
 前も貮萬貮千石内外に相見候、右有丈之現預を相當之直
 段にて賣出候ヘハ、斯迄米無多事中段以上ニ御救米をも
 被仰付程ニは至り申間敷處、畢竟、現預は歩入ニいたし、
 其質札を以御達ニ背キ候致商賣候付、彌以現物隠レ、直
 段は遂日高直ニ相成、諸人は日ニ増逼迫を重ね候を不顧、
 貧福持合之御沙汰にも相背候のみならす、右御蔵預等差
 出候様との御達之砌、餘計ニ致所持候ものは遠在抔知音
 之方え分遣、或は餘人之名前を借候躰之儀有之、右名前
 之内ニは分限不似合之者も有之哉ニ相聞、彼是不届之至
 ニ付、歩札商賣之手續等被遂御穿鑿、屹ㇳ被仰付筋も有
 之候江共、御僉議之趣有之、此節迄は先其分ニ被閣候て
 左之通
一相對歩入質札は一枚/\裏ニ官印を用、差返候間、三斗
 五升入四拾目を限、來ル廿一日限順々ニ取計仕舞候様、
 若日限迄ニ片付不申分は流ニ被仰付候
  但、十月以後之歩入取扱商賣いたし候もの有之候ヘハ
  町方御横目廻役より見當次第取揚、其段相達候筈
[付紙]「在町其外々え振出置候歩入札片付方も本行同断、
  若日限限持出懸合有之候ハヽ、札主持合町方御横目改
  を受歟申事」
一現預所持之者は、粮物其外商賣方ニ入用餘分は速ニ賣出、
 一統之融通肝要ニ過相心得候
 右之通被仰付候間、此上歩入商賣は不及申、有餘之米穀
 賣惜なといたし、諸人之難澁ニ係り候奸智之取計いたし
 候ものは、早速被召捕屹ㇳ被仰付之筋有之、一類・五人
 組迄其分ニては被差通間敷候條、向後聊心得違之儀無之
 様、相互ニ兼々心を付、其上ニも不相用ものも有之候ハ
 ゝ、不閣申出候様及達、銘々印形を取相達候様、惣月行
 司え及達、町方御横目・町方受込廻役えも及達候事

 六七 文政十一年十一月
一當年柄米穀至て無多事、右ニ付、當時は御郡より米穀一
 切、市中ニ付出不申由ニ付、折角町家ニ買貯置候米穀を
 在中ニ賣捌候ては、在中之貯乏敷相成、諸人難澁之基と
 相成候付、米穀を在中え賣出候儀は當分被差留、在中之
 者たり共御家中御扶持方拂等ニ俵數株立不申、賣買は是
 迄之通相心得候様との儀、先年委細及達置候通候處、近
 來間には大豆・麥抔を在中ニ商取組賣出候付ては、紛敷
 儀も有之哉ニ相聞不埒之至候條、以來穀類は一切在中え
 賣出候儀、當分被差留置旨候條、當時賣買取組置候者も
 有之候ハヽ、早々及破断候様及達候事

 六八 文政十二年六月
一空躰之商賣いたし候儀は、兼て被禁置候處、羽書商賣と
 名付、空躰之米穀商賣いたし候もの有之様子ニ付、向後
 右躰名目を以、米穀空躰之商賣いたし候儀屹ㇳ停止被仰
 付旨、文化五年十一月及御達置候處、近來又々穀物類之
 羽書商賣いたし候聞へ有之、米穀相場ニも相響キ、不届
 之至候、依之羽書商賣は勿論、前賣・前買抔と稱し、空
 躰之商賣いたし候儀、彌以停止被仰付候、自然心得違之
 者有之候ハヽ、御吟味之上急度被仰付筋歟有之候間、町
 中不洩様及達、人別印形之書付相達候様及達候事

 六九 文政十二年九月
一空躰之歩札商賣は、嚴敷被禁置候處、間ニは正真之御蔵
 預質入いたし候儀をも被差留候様ニ相心得候者も有之哉
 ニ付、御蔵預歩入は不苦段、此旨一統及御達候處、近來
 米直段少引上候付ては歩札商賣を被成御免候なとと氣取
 兼候故之儀と相聞候、空躰歩札商賣は勿論哉以難叶事ニ
 候間、若右躰不正之商売いたし候もの及見聞候ハヽ、不
 閣町方懸り之御役筋へ申出候様、左候ハヽ屹ㇳ御吟味可
 被仰付候様、相對を以申分ヶ間敷儀不仕、かさつ之取計
 等決て不仕様、町中末々迄不洩様、委敷申示候様、惣月
 行司え書付相渡候事

 七〇 文政十二年十月
一造酒哉之内、酒之小賣をいたし候店々は、手製之酒迄ニ
 て他之酒は買入申間敷段、文政三年十一月及御達置候通、
 彌以相守候様、若心得違之族於有之は、揚酒屋より訴出
 候様被仰付旨、諸色しらへ受込別當へ及達候事

 七一 天保元年六月
一熊本町中造酒本手を在中等え譲切は勿論、他所より買入
 願も容易ニ不被成御免候様ニとの儀付ては造酒彌共より
 先年願之趣有之、其通被仰付置候處、近來間ニは造酒職
 打立、内證は夫々手數相整候上、在中等より本手譲請願
 相達候族も有之、最早其期ニ至不被差免候ては、身代之
 障ニも相成候故、別段を以被差免候儀も有之、畢竟、不
 案内故之事とは相聞候得共、追々類引候様ニ成行候ては、
 先年御達之趣ニも致相違候付、以來新ニ造酒打立度存候
 ものは、前廣ニ造酒直段元え懸合、其様子ニ應し願出候
 様、町中え及達候事

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