今回から「藩法集7 熊本県」から「市井雑式草書附録」をご紹介してまいります。
なお、「雑色草書」につきましては、2017-11-13 を第1回として34回にわたりご紹介済です。
一
一 文化十年閏十一月
一別當共依願、火事場晝之印九曜御紋小昇被成御免、消
方之裁判彌以手抜様可申談旨、達二およひ候事
二 同
一出火之節、田子前旗挑灯等受持之者共、火事場え不参之 田子→担・担桶(たご)
物えは、為過怠、其役を両度程積せ受持申付候様、及達
候事
三 同年十二月
一出火之節、丁頭共消方幷水ノ手之差圖いたし候二付、晝
之目印ニ引両付之茶巾壹本宛御免被下候様願出候得共、
難叶段及達候事
四 文化十二年六月
一火事之節、水手之験として小丸挑灯ニ御紋被成御免候様、
丁頭共願之通可被成御免候、依之、小丸挑灯ニ九曜御紋
を付、背丈ヶより一、二尺程高張にして、水ノ手と申文
字を書、一懸ニ一張宛致用意候様、且晝ノ印も有之度事
ニ付、晝ノ印ニは、紺地木綿之小昇ニ、白之御紋を付、
中ニ水手と申文字を染抜候様、尤懸り/\ノ印は、別當
存寄次第、脇懸ニ紛不申様分明の印を付候様、及達候事
五 文化十三年二月
一旅人相煩候節は醫師ニ懸療治を加、継送等之儀付てハ、
明和五年公義被仰出之趣一統及達置候通候處、近年間ニ
は送候もの共、扱方不宜哉二相聞、不心得之儀ニ付、以
來彌以被仰出之趣相守、心を用懸ニ相勞り、継送候様、
御國内之者病氣差起候節は勿論之事候條、精々申付置候
様、五ヶ所町え及達候 五ヶ町→熊本・八代・高橋・川尻・高瀬(玉名)
六 文政三年七月
一坪井川筋増水之節、下馬橋幷妙解寺表門前橋町夫馳付、
且土俵手當之儀付、御作事頭より立有之候、町夫出方之
儀、所々受持相究居、且明俵之儀兼て町々定り之員數有
之候得共、毎度及不足、町役人共心配いたし間を合せ候
程之儀ニ付、明俵之儀は手當難及達、於御作事所用意ニ
相成居候様、尤町夫之儀、定受持及達置候ても、御所柄之
儀ニ付自然間抜ニ相成候ては難相濟事ニ付、下馬橋は東
古町両坪井、妙解寺表門前橋は新一丁目二丁目え、若増
水候節、御作事所手足り不申節、臨時ニ懸合有之次第見
計、町夫差出候様、此節定達ニおよはせ置候段及達候事
七 文政四年十月
一出火之節、火事場受持之御奉行衆、火事場え被罷出候儀
勿論ニ候處、不快故障又は御府外え被罷出候節は、被召
連候筈之人數、例之揃所え大腰掛両脇被差遣置候ヘハ、餘之
衆臨時被申談、右之人數召連火事場え被罷出筈、且火事
場受持之衆御用受持之節は、其身御用挟箱持せ御奉行所
え被罷出、被召連候筈之人數は例之揃所え被差出候ヘハ、
餘計申談火事場え被罷出筈候事
八 文政八年二月
一市中流行病等有之節は、町役は勿論五人組幷丁内等より
心を付、薬用又は看病等行届候様兼て相心得居可申事候
得共、彌以手厚申談、難澁之者えは分て心を付取救候様、
寄々別當より丁頭以下えも相示置候様、右之趣只今改市
中相觸候と申儀ニては無之、同役中示合置、時ニ臨不行
届之儀無之様、兼々丁頭以下えも申聞置候様惣月行司別
當え口達手扣ニ■相渡、若届兼候躰之儀有之候ハヽ不差 ■扌偏に乄=締
置申示候様、町方御横目え書付申渡候事
九 文政八年九月
一異國船到來、御人數被差出候節、兵粮米精方等渡邊甚三
郎受込、東目え御人數日差出候節、出役之面々賄仕出等
阿部彦三郎え受込被仰付候事
一〇 同十一年八月
一先月二日強風雨付て、御家中初所々損所多有之候付て、
竹木縄萱等之直段幷諸職人手間料等引上不申様ニとの
儀、屹ㇳ被及御達置候通候處、昨晩之強風付ては竹木直
段等莫大ニ引揚賣出候哉之唱有之、御達筋ニ違不届之至
候、彌以相當之利益を以致商賣、諸職人手間料等も書付
之通相心得可申候、尤竹木類在中元方之直段引上候なと
之申分も可有之候哉ニ付、在中えも嚴敷御沙汰ニ相成候
付、其旨相心得、自然在方より持出候竹木類、莫大之直
段等申出候ものも有之候ハヽ、其所柄名前承相達可申
候、萬一強欲を巧ミ候族於有之は、御吟味之上被仰付筋
加有之段町中え及達候事
一一 文政十二年二月
一御手當御用町夫之儀、文政五年四月定規員數及達置候通
候處、御取締月て、以來左之通
一町夫貮百五拾六人 一番手
一同貮百貮拾五人 二番手
右之通定規二被究置候條、來年よりは定規二相心得候様、
惣月行司え及達候、尤何町より何人宛と申儀相極候上二
て此方え相達候様との儀も及達候事