十一
一〇六 文化九年十月 翌年五月猶又達
一於市中料理茶屋躰之店構をいたし、吸物取肴等を拵酒を
取はやし致渡世候者、近年ニ至段々と相増、風俗不宜儀
も有之やニ付、右商賣被差留候間、早々商賣替いたし候
様、尤旅人本通筋又は在郷口等ニて、以前より有觸候煮
賣躰之儀は今迄之通被差置候間、過分之儀等無之様、可
相心得旨、町中え及達候事
一〇七 同十年八月
一花火線香商賣仕間敷旨、猶及達候趣、法政之部ニ有之候
事
一〇八 同十一年二月
一町人數ニて十歳以下之者、纔之品物觸賣いたし候ニ付、
商札被渡下ニ不及、是迄之通、且呉服太物類手代共御家
中え持越候節も、觸賣いたすニて無之候間、商札は不被
渡下段及達、被廻御物頭えも知せ候事
一〇九 文化十三年五月
一質素節儉之儀は追々御達之通ニ付、商賣物も奢ヶ間敷品
は取扱不申筈之處、鬢附賣又は小間物屋之内、間ニは縮
緬之髪飾をひそかに致商賣者有之様子相聞、心得違之至
ニ付、以來縮緬は勿論、絹類之髪飾堅商賣仕間敷、若相
背候者は、火廻御物頭・町方御横目廻役等より見當次第
御吟味之上屹ㇳ可被仰付旨、總月行司え書付相渡候事
一一〇 文政元年五月
一煮賣商賣等之儀ニ付、文化十年閏十一月、別紙之通町中
一統及御達置候處、近年ニ至相ゆるみ、心得違之者も有之
様子ニ相聞不埒之至ニ付、以前御達之通屹ㇳ引改可申候、
萬一御達を背候もの有之候得は、兼て御達之通被廻御物
頭幷町方御横目廻役より見當有之次第、即座/\遂吟味
達有之筈候條、右躰商賣仕候者共不洩様早々及達、一懸
限受書印形之帳面取揃相達候様、惣月行司え及達候事
料理茶屋躰之煮賣をいたし候儀は差留被置候處、今以
間ニは右躰商賣いたし候ものも有之哉ニ相聞、おこり
ヶ間敷風俗不相止不埒之至候、依之以來左之通
一揚酒屋其外ニても煮賣商賣之事
このしろ つなし はだら えひ まて うばかひ
たこ くじら しひ 麪類 野菜類 麪→麺の旧字
右之外は煮賣難叶、勿論御免外之なま肴等見世にか
さり置候儀難成候
[朱書]「一うなき
一ぐち
一江鮒
一たち魚
一鮎
右五品、文化十二年九月依願煮賣被成御免候事」
[朱書]「一かつお魚 一鯖 一ふか 一えいの魚 一くちぞこ
一小ひら 一さわら 一しゃく 一貝類 一さつこ類
右拾品、天保九年五月依願煮賣御免、町方日帳」
一魚店之事
賣殘之魚類てんふら・ちくわ等ニ拵賣候儀は不苦候
得共、魚店ニて煮賣をいたし候儀は一切難叶候
一蕎麦屋・雑煮屋・田樂屋之事
酒一切賣買仕間敷事
右之通被仰付候、萬一相背候もの有之候ヘハ、當人は
勿論五人組・町役人迄も屹ㇳ可被仰付候條、右躰商賈
仕候者共不洩様念比ニ申聞せ、受書判形仕せ、別當手
前ニ取置、此後新ニ右躰商賈打立候者共えも、其時々
不洩様判形仕せ置可申候、依之來月朔日以後少にても
右御達に違候もの有之候ヘハ、町方御横目廻役より見
當次第、即座/\遂吟味相達候様被仰付候條、此段懸
り/\不洩様早々可相達旨、文化十年閏十一月、惣
行司え及達候事
一一一 文政二年正月
一町家之者商賣ニ罷出候節は、商札を帯にさけ罷出候様と
の儀、前々より度々及達置、且途中にて火廻を見懸候ハ
ヽ、商札を出しかゝみ居候様との事は、火廻御物頭より
も追々別當迄申達ニ相成居候由之處、心得違之者多有之
様子ニ相聞候、以来彌以追々達之通、商ニ出候節は失念
なく札を帯にさけ罷出、火廻之行列を見懸候ハヽ、かた
わらに寄、札之見へ候様ニいたしかかみ居可申候、紛敷
筋無之、無札之躰無之候ヘハ、猥ニ打擲等可有之様も無
之事に付、此旨能々相心得候様、當年商札引替渡之節、
人別合點仕候様、丁頭/\より申渡、銘々印形を取置可
申旨、惣月行司え及達、火廻御物頭えも及達候事
一一二 文政二年四月
一檜物屋職之儀付ては舊臘及達候通候處、此節猶又檜物屋 檜物を作り売る家。また、それをする人。
中願之趣有之、假令職札受取居候共、餘職之片手ニいた
し候儀は難叶、向後新二檜物屋職願出候者有之節は、同
職之者え懸合、故障無之段書付を取、願書ニ添へ差出候
様、惣月行司へ及達候事
一一三 同年八月
一諸商賣物菓子類等、新規ニたくみ出候事御停止、且髪飾
類無益之費無之様との儀、衣服之部ニ有之候事
一一四 同
一町家之者、御家人中ニ對、不禮無之様との儀右同断
一一五 文政三年五月
一迎大工町恵比寿屋清助方え入職いたし居候牛角細工人之
儀ニ付、市中牛角職之者共故障之儀ニ付書付相達候、同
職之者共及難澁候譯を以被差留候儀は難相成、願之趣難
[工缺ヵ]
叶候、尤右之者は上方向櫛笄之類、新製之細専いたし候
由ニ付、其儀は被差留段及達候、然處御國職人共之儀も
近年婦人髪飾道具之品、江戸・京・大坂・長崎邊ニては
やり候品物、見習細工いたし候様子相聞候、右躰新製之
品造り出候儀ハ、以來屹ㇳ被差留候間、彌以御國有來之
通之品之外、細工不致様町中え及達候事
一一六 文政四年二月
一花火線香と名付紙ニ捻り、又は少キ竹ニ仕込商賣いたし、
子供之持遊ニ致候付て、火用心無心元候間、右之類一切
商賣不仕候様、先年より度々町中え達ニ相成居候處、近
比猥相成、又々賣廻り申様子ニ相聞候條、以來彌以市
中ニて拵賣出候儀は勿論、賣廻候儀等堅無之様相示可申
候、尤廻役よりも吟味被仰付候間、見逢次第其品取上可
申候條、及其達候様、惣月行司へ及達候事