仕事帰り、久しぶりに早稲田松竹に立ち寄り、フランソワ・トリュフォー『映画に愛をこめて アメリカの夜』(1973年)を観る。
フランス・ニースでの映画撮影。ワガママで幼児的な主演男優(ジャン=ピエール・レオ)。精神不安定から回復し、英国から渡ってくる主演女優(ジャクリーン・ビセット)。個性的なスタッフたち。プレッシャーのため、毎晩悪夢に苦しめられる監督(トリュフォー本人)。
ずいぶん昔に、ヴィデオで観たときには、サブタイトル通り、満ち溢れるほどの映画への愛情が印象的だった。今回もその印象は変わらない。その一方で、一時的な興奮状態という映画づくりに対する自虐的な思いと、諦めのような念もまた伝わってくる。
学生時代の合宿とおなじである。あまりにも愉しい時間と人恋しさ、しかしそれが永遠に続くとしたら、どこに足場を見出せばよいか。ポール・オースターが引用した言葉、「As the weird world rolls on.」(このけったいな世界が転がっていくなか。)を思い出してしまう。
それにしても、ジャクリーン・ビセットは魅力的。そして困ったことに、「構ってちゃん」のジャン=ピエール・レオの情けない姿は、ときおり、自分を見ているようでもある。(わたしだけではないだろう?)