Sightsong

自縄自縛日記

池井戸潤『ルーズヴェルト・ゲーム』とテレビドラマ

2014-06-20 22:42:24 | スポーツ

そんなわけで(どんなわけだ)、日曜夜9時のテレビドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』を、楽しみに観ている。ついでに、耐えきれなくなって、池井戸潤の原作小説(講談社文庫、原著2012年)を読んでしまった。

中堅電機メーカー・青島製作所が、もっと規模の大きい競合相手・ミツワ電器(ドラマではイツワ電器)に呑みこまれそうになり、大逆転を目指して奮闘する物語である。青島はデジカメ用イメージセンサーの開発によって急伸した企業だが、ミツワにはその技術力がない。青島は家族的経営、ミツワはとにかくコストダウン。

何となく、青島が、かつての旭光学(ペンタックス)の姿に重なってしまう。かつてはオリジナリティ溢れるカメラを作っていたメーカーだが・・・。

青島の家族的経営の雰囲気作りに一役買っているのが野球部なのだが、会社存亡の危機にあって、廃部を余儀なくされている。どうしても、皆でわいわいと仲良く盛り上げる組織の姿に対して、わたしなどは、そこから疎外されている者のことを考えてしまう(『クッキングパパ』が昔から嫌いだった)。しかし、その一方で、必死に奮闘する勤め人の姿を見ていると、意味なく熱くなってしまう(『クライマーズ・ハイ』のように)。単純だな。

ところで、先にドラマのほうをほとんど観てしまったせいか、小説にそれほど面白みを感じない。それほどドラマのほうはキャラが立っていて(『半沢直樹』の二番煎じなのではあるが)、芸達者な役者たちを揃えている。失敗しているのは、唐沢寿明が演じる主人公の細川社長のみ。どんな人なのか最後までつかみかねて、感情移入が出来ないのである。

もう今度の回が最終回だと思うと寂しい限り。小説と比べてどうかな。