ウィルバー・ウェア『Super Bass』(wwi、1968年)は、2012年に発掘盤として出された。もともと、Strata Eastレーベルから発売する予定で吹き込んだものの、お蔵入りになっていたものらしい。
Wilbur Ware (b)
Ed Blackwell (ds)
Don Cherry (tp)
Clifford Jordan (ts)
実はあまりウェアのベースに対する印象はなくて、思い出すのは、セロニアス・モンク『Monk's Music』におけるハプニングだ。「Well, You Needn't」の演奏中、モンクが勘違いしてコルトレーンに叫び、それによって、ドミノ式にブレイキーやウェアが慌てふためくというセッションである。
こうして改めて聴いてみると、(録音でベース音を際立たせているような感もあるが、)堅実で良いベースである。しかし、それはそれとして、やはり他の3人のプレイに耳を奪われてしまう。
クリフォード・ジョーダンのエッジがもこもこしたテナーは、ジョージ・コールマンやデューイ・レッドマンとも共通するようで、旨味のつまった肉塊を堪能しているような気分。斜め上からキュルルルと地上に降りてくるドン・チェリーも、ズンドコ太鼓のエド・ブラックウェルも、聴くと、「待ってました」の芸である。
何でこれがお蔵入りになっていたのだろう。普通といえば普通なのだが。
●参照
デューイ・レッドマン『Live』(エド・ブラックウェル参加)
エド・ブラックウェル『Walls-Bridges』 旧盤と新盤
マル・ウォルドロンの映像『Live at the Village Vanguard』(エド・ブラックウェル参加)
カール・ベルガー+デイヴ・ホランド+エド・ブラックウェル『Crystal Fire』
エリック・ドルフィー『At the Five Spot』の第2集(エド・ブラックウェル参加)
富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL. 1 / 2』(ドン・チェリー参加)
『Interpretations of Monk』(ドン・チェリー、エド・ブラックウェル参加)
『Jazz in Denmark』 1960年代のバド・パウエル、NYC5、ダラー・ブランド(ドン・チェリー参加)
ザ・ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ(ドン・チェリー参加)
シャーリー・クラーク『Ornette: Made in America』 オーネット・コールマンの貴重な映像(ドン・チェリー登場)
ドン・チェリーの『Live at the Cafe Monmartre 1966』とESPサンプラー