Sightsong

自縄自縛日記

ジェレミー・ペルト@SMOKE

2014-06-28 22:16:01 | アヴァンギャルド・ジャズ

Jazz at Lincoln Centerからブロードウェイをてくてく北上、45分くらい歩いて、Smokeに到着した(予約した22時半のステージまで時間があったのだ)。ちょうどセカンドステージが終わるところで、バーカウンターに座った。


レコードまで出している

Jeremy Pelt (tp)
Simona Premazzi (p)
Ben Allison (b)
Billy Drummond (ds)
Vicor Lewis (ds)

それにしても、ジェレミー・ペルトの体格は凄い。堂々たる体躯から、文字通りギラギラのトランペットを鳴らし切った音が次々に出てくる。これがひとつのジャズ・トランペットの理想だろうなと思ってしまった。

しかも、ヴィクター・ルイスビリー・ドラモンドという豪華ツインドラムス。ふたりの発する複雑なパルスの中を、ジェレミーはまったく音負けせずに吹きまくる。このくらいのパワープレイであれば、確かに、相手を増やしたほうがよいのかもしれない。

ステージの最後のころに、さっきの演奏を終えたばかりのエディ・ヘンダーソンが遊びに来ていた(!)。ジェレミーはエディと並んで吹きたかったようだが、エディが固辞していた。対照的なプレイをもし聴けたら面白かったのに。

ジェレミーはこの9月に新作を吹き込み、来年に出すそうである。


ジェレミー・ペルト 


ビリー・ドラモンド 


ヴィクター・ルイス


手持ちのCDに、エディ・ヘンダーソンのサインをいただいた。ローラン・ド・ウィルドに15年以上前に書いてもらった下に。

●参照
ジェレミー・ペルト『Men of Honor』http://blog.goo.ne.jp/sightsong/e/be38412a819acaa433dcc77536f3de4e 


エイゾー・ローレンス@Jazz at Lincoln Center

2014-06-28 21:41:24 | アヴァンギャルド・ジャズ

NYセントラル・パークの角にあるJazz at Lincoln Centerに足を運んで、エイゾー・ローレンスのグループを観た(2014/6/27)。

センターにはいくつか会場があって、この「Dizzy's Club Coca-Cola」はビルの5階にあった。大きな窓からのマンハッタンの眺望は凄いのだが、何しろ逆光がひどい。夜7時半の演奏がはじまってまもなく、夕陽がもろに入ってきて目が痛かった。沈んでしまうと快適になった。

Azar Lawrence (ts)
Eddie Henderson (tp)
Jeff "Tain" Watts (ds)
Benito Gonzalez (p)
Essist Okon Essist (b)

見た目の迫力とは裏腹に人の好さそうな感じで登場してきたエイゾー・ローレンスは、勢いのあるソロを気持ちよさそうに吹き抜き、ソロがうまくいくとこっそりガッツポーズを示してステージ脇に退いたりした。

エイゾー・ローレンスは、マイルス・デイヴィスの『ダーク・メイガス』でのパフォーマンスがひどいとして評判が著しく悪い。しかし、マイルスのバンドにおけるサックス奏者はかれのみならずアウェーの洗礼を受けている。人にはそれぞれ居場所がある。サム・リヴァースしかり、ジョージ・コールマンしかり、ゲイリー・バーツしかりである。

もっとも、かれのソロは熱くて良いのだが、音域がさほど広くなく、わたしのスイートスポットを突くわけではない。むしろ、今回楽しみにしていたのは、エディ・ヘンダーソンジェフ・テイン・ワッツである。

エディのトランペットは抑制されていて理知的に響く。それでいて、強調するところでは管がびりびりびりと共鳴し、本当に素晴らしい。

テインは、かつて、ケニー・ギャレットやブランフォード・マルサリスと来日したときに観たことがあるが、好不調の波が激しいのかと思っていた。ここでは、失礼ながら、ドラムスが楽しくてたまらないヤンチャ坊主が気持ちそのままに暴れている感覚で、観る方もハッピー。

今回の曲は、新譜『The Seeker』から選ばれ、本人もやたらと宣伝していた。どうやら、トランペットはニコラス・ペイトンのようで、これも聴くのが楽しみである。


演奏前にウズウズ


エディ・ヘンダーソン


エイゾー・ローレンス


エディ・ヘンダーソン


ジェフ・テイン・ワッツ


エディ・ヘンダーソン


ホイットニー美術館のジェフ・クーンズ回顧展

2014-06-28 06:54:53 | 北米

ニューヨーク。時差があってつらいが、早速、ホイットニー美術館で開かれたばかりのジェフ・クーンズ回顧展を観た。

キッチュというのか、大量消費と流通のシステムに支えられて普及した趣味そのものが、俗文化が、綺麗なまま拡大されている。そういうことであれば、パッケージ未開封品であればあるほど価値があるというものだ。クーンズの絵や彫刻はピカピカである。観る人たちも、ピカピカに魅入られているようだ。

大量消費文化はすなわちアメリカであった。そのアメリカのアイデンティたる自由の鐘を、クーンズは、あろうことか、これまでたどってきた歴史や素材の検証により、精巧なレプリカとして作っている。かれはこれを「altered ready-made」と称している。アメリカと心中するつもりか。

常設展のウィリアム・エグルストンやエドワード・ホッパーも素晴らしかった。