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「茶々と秀吉」秋山香乃

2010年03月26日 23時11分21秒 | 読書(小説/日本)

「茶々と秀吉」秋山香乃(文芸社)

前回読んだ、「茶々と信長」の続編。
茶々が秀吉の側室となり、子をなし、秀吉が亡くなるまでを描いている。
於茶々の境遇を的確に表現している文章があるので、以下転載する。
(P245)
わずか十代のうちに二度の落城を経験し、両親も養父も兄もことごとく秀吉の手に掛けられ、だのにその仇の庇護で生き、抱かれ、その男の子を身ごもって産み落とし―。かの姫はどこかで気持ちを切り替えてすべての運命を受け入れ、歩いてきたのに違いないのだ。

さらにP300も、当時の時代を表現して興味深い。
当時のしきたりから言っても女は大年増と言われる三十前後になれば、自ら床下がりを申し出て、侍女を代わりに差し出すものだ。

これは男に都合のよい風習のように思えるが、母体保護の目的もあったように思う。
出産での死亡率は、現在と比べてはるかに高かったはず。

さて、私が最も興味があるのは人間関係。
秀吉と茶々の関係は、しっくりいってたのか?
茶々には、他に好きな男性はいなかったのか?
そして、不倫しなかったか?
秀吉を愛していたのか?
どこまで計算が働き、利害、思惑が絡み合ったのか?

さらに、私がもっと興味あるのは、浅野三姉妹の関係。
姉妹の仲はよかったのか?
於茶々と於江は仲良かった、と私は思う。
では、於初と於茶々はどうか?
於江と於初はどうか?
著者の秋山香乃さんは、割とあっさり書かれている。
三姉妹は仲が良かった、と。
(少しもの足りない)
もし、向田邦子さんが書かれたら、時代劇版「阿修羅のごとく」でしょうね。
さらに、桐野夏生さんならどうだろう?
もっと、激しい内容になる予感がする。
なんせ、あの姉妹どろどろ「グロテスク」を著されている方だから。
(うん、読んでみたい、桐野夏生版「於茶々」!)

さて、この巻では、秀吉が没するところで終了する。
次巻では、於茶々孤立無援状態。
周りの利害思惑が入り乱れ、いったいどうなるのか?
於江や於初は、どこまで助けようとするのか?
あるいは、ほっておくのか?
悲劇のエンディングまっしぐら。

【ネット上の紹介】
秀吉自慢の大阪城へ輿入れした於茶々、そのとき十七歳。
秀吉は五十になろうとしていた。
小谷落城で父・浅井長政の死、北之庄落城で母・於市の死を見てきた於茶々は、
その実行者秀吉の妾になることをどう納得したのだろう。
伯父・信長には殺意を抱いた於茶々だが、果して秀吉には──。
史上名高い悪女とされてきた於茶々(淀殿)の視点から豊臣秀吉を描いた、
画期的な長編時代小説。
大好評茶々と戦国武将シリーズ、ファン待望の第2弾!



次回は、いよいよ家康と於茶々の勝負。


桐野夏生さんの傑作「グロテスク」