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「緒方貞子戦争が終わらないこの世界で」小山靖史

2016年10月22日 21時14分19秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)

緒方貞子 戦争が終わらないこの世界で 
「緒方貞子戦争が終わらないこの世界で」小山靖史

緒方貞子さんの評伝。
写真も多数収録されていて読みやすい。

聖心女子大・初代学長・マザー・ブリットの教え
P75
「『いろいろ勉強しなさい』と、ずいぶん言われました。それも社会科学ではなくて、哲学とかそういうものを学ぶべきだと……。それから、『結婚は、一度してしまえば一生していられるのだから、今はそんなことを考えないで、どんどん学問をしなさい』と言われましたね。(後略)」
P76
「あななたちは、鍋の底や皿を洗うだけの女性になっていはいけません」
「自立しなさい!知的でありなさい!協力的でありなさい!」

芳澤謙吉『外交六十年』より
P107
「私も犬養総理も満州国の独立なり、またはこれを承認することには反対しておった。(後略)」

緒方貞子さんの言葉
P160
『手に入る一次資料を集めなさい。色々探し回ること自体が勉強なのです。それは、必ずしも論文に反映されなくても無駄になりません』
『教育は身に付いた経験や知識を全てはぎ落とした時、最後に残るものです』

リーダーシップと決断力について、判断の基準は何か?
P179
「最後は勘ですね。全部整理していたら決められないですよ、いつまで経ってもね」
P180
「(前略)度胸も大事でしたね。あるいは勇気があることも大事でした。だってグズグズしてものを決められない上役がいると、じれったいでしょう?」

仕事の出来る人…共通の資質とは?
「ある程度、感受性がある、ということは大事でしょうね。それから、思考プロセスがかなり速い、ということもあると思います」
(安全のためにスピードは重要、ということだ…これは様々な分野で言える)

【おまけの感想】
幼い頃から、アメリカに住んだり、中国に住んだり。
聖心女子大一期生で、留学もしている。(当時の女性は、ほとんど尋常小学校程度)
父は外交官、祖父は芳澤謙吉、曾祖父は犬養総理。
血筋という言葉は好きではないが、環境は大きな要素。
恵まれた中で、さらに努力された、と言うことだ。

【ネット上の紹介】
国連難民高等弁務官として、世界中で多くの難民を救い、国際社会で評価された緒方貞子。その半生を追ったNHKスペシャルの待望の出版化!歴史を変えた、リーダーシップの真実とは―。
[目次]
第1章 政治家・外交官の家に生まれて―誕生‐アメリカと中国での生活
第2章 信念の人 父・豊一―日中戦争‐帰国
第3章 少女時代に見た戦争―真珠湾攻撃‐終戦
第4章 リーダーシップの原点―聖心女子大学時代
第5章 戦争への疑問 満州事変研究―アメリカ留学‐論文執筆
第6章 突然の国連デビュー―結婚‐出産‐大学での講義‐国連総会出席
第7章 日本初の女性国連公使―国連日本政府代表部への赴任‐上智大学教授
第8章 紛争と向き合う中で―国連難民高等弁務官時代
第9章 「人間の安全保障」を求めて―二十一世紀JICAでの活躍
エピローグ 日本人へのメッセージ