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「ニュータウンは黄昏れて」垣谷美雨

2016年10月27日 21時29分46秒 | 読書(小説/日本)


「ニュータウンは黄昏れて」垣谷美雨

ニュータウンを舞台にした、社会派エンタメ作品。
失踪した友人はどうなったのか?
最後は英国にも舞台は移動する。
文章を紹介するが、最後の文はネタバレありなので、ご注意下さい。

P32
老人たちは、車の運転はなかなかやめないが、自転車に乗るのは早々にあきらめるらしい。

P113
女性は歳を重ねると、顔の造作そのものよりも髪型や服装や姿勢や太り具合などに美醜が大きく左右されるように思う。

P154
家を買うというのは難しい。それというのも慣れていないからだ。

P255
大人の男性――自分をぐいぐい引っ張っていってくれる頼れる存在――とつきあうと、そのオマケとして漏れなく我慢がついてくる。

P485
「私たち、これからも友だちでいようね」
「それは無理だと思う」
(中略)
「三起子、別にそんなに悲しむことじゃないと思うよ。子供の頃に仲良しでも、それぞれ違う環境で育って大人になれば考え方も生き方も変わっていくでしょ。新しい出会いがあって新しい友だちができる。それでいいじゃない」
「そんな……」
 悲しそうな顔で見つめてくる。
「じゃあ、元気でね」
(この潔さは素晴らしい。でも、実際は難しい。なんとなく疎遠になるのがフツーでしょうね。一般に、出会うより別れる方が時間と労力を必要とする)

あとがきを読むと、著者は多摩ニュータウンに住んでいたそうだ。
32歳の時、分譲団地の4LDKを5200万円で購入。
当時の金利は7%。
住宅ローン、集会の役員人事や会議の様子が非常にリアル。

【ネット上の紹介】
バブル崩壊前夜に買ってしまった分譲団地。20年近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死だ。その上、老朽化による建替え問題に振り回される日々。一方、娘の琴里は27歳フリーター。ある日、友人の三起子にイケメン資産家の彼氏を紹介される。が、彼女は失踪し、いつしか琴里が彼と婚約することに。織部家、まさかの人生大逆転?!一気読み必至の傑作社会派エンタメ長編。