「七十歳死亡法案、可決 」垣谷美雨
年々、表現が巧みになっている気がする。
特に、極端な設定をして、物語を紡ぎ出すのが巧い。
今回も、思った以上に楽しめた。
P9
果たして、長寿は人類に幸福をもたらしたであろうか。
本来なら喜ばしいはずの長寿が、国の財政を圧迫する原因となっただけでなく、介護する家族の人生を台無しにするような側面があることは今や誰も否めない。
P295
いるいる、こういう男性。
――女のくせに生意気だ。
こう思われたら最後、好々爺がセクハラ男に変わる。こういう男性に限って、自分が尊敬されているかどうか、馬鹿にされていないかどうかを始終気にしているから始末に負えない。
【参考リンク】
垣谷美雨インタビュー&メッセージ
【ネット上の紹介】
高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを噛み締めていた。我侭放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて…。すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!