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「オーバー・ザ・エッジ 」グレッグ・チャイルド

2016年11月05日 21時25分28秒 | 読書(山関係)

竹書房文庫<br> オーバー・ザ・エッジ
「オーバー・ザ・エッジ 」グレッグ・チャイルド

キルギスにビッグウォールがある。
2000年、トミー・コールドウェルたち米クライマー4人が登りに行く。
ところが、イスラム過激派に誘拐され、山岳地帯を引き回される。
彼らは、いかに脱出したのか。

P37
世界中に山はたくさんあるが、氷河時代の氷河によって花崗岩の岩盤が削り取られてできたビッグ・ウォールのある場所はきわめて少ない。すなわち、ヨセミテ、バフィン島、グリーンランド、パキスタンのトランゴ・タワー、フレンチ・アルプスのシャモニー、そして1980年代後半に加わったカラフシンといったところだけだ。16キロにおよぶ二つの渓谷――カラス渓谷とアクス渓谷――ロシアのトップ・クライマーを養成する地となり、その後、クライミング交流を通じて同地を訪れた外国人クライマーたちにとっても技術を磨く場所となった。

P38
90年代半ばは、ロシアのクライマーに出会うことがまだ珍しく、私たちは盛んに装備を交換し合った。ロシア人は、丈夫で軽量なチタン製ハーケンやアイス・スクリューを出してきた。音が静かなことで有名なロシア潜水艦を製造する工場で、管理者の目を盗んで作られたものだった。

P211
コールドウェルは、空になったコンタクトレンズ用液の瓶を取り出し、片手で泉の水をすくって、瓶に詰めた。彼は三日間、コンタクトレンズをつけたままにしており、いまやレンズがたんぱく質でおおわれて、視界がかすんでいる。

P270
“ダノ”ことオズマンは、1998年、ヨセミテでロープを使った難しいクライミングの最中、ロープが切れて300メートル落下し、死亡した。(これは書き方がおかしい。あたかも、登っていて落ちたかのような印象を受ける。彼は「フリーフォール」でロープが切れて亡くなった…有名な事実である。訳者が事情を知らず、このような書き方をしたのだろうか、それとも、著者が書いたとしたら、本作品自体の質が問われることになる)


【ネット上の紹介】
1999年キルギスで、国際協力事業団から派遣された日本人4人が、イスラム過激派ウズベキスタン・イスラム運動(IMU)によって誘拐される事件がおきた。そして翌2000年、同じくキルギスでIMUにより4人のアメリカ人クライマーが誘拐された。ゲリラたちに引き回され、険しい山の中を迷走し、キルギス軍との戦闘にまきこまれる4人。生と死の間の極限の状況で、彼らはある行動を選択した…。中央アジアの混迷した現状を伝える衝撃のノンフィクション・ドキュメント。
[目次]
ファースト・コンタクト
旅行者への勧告
あなたがたはトビリシに行っていない!
カラフシン渓谷を下る
紛失した荷物
災難の前兆
ジュマ・ナマンガニとウズベキスタン・イスラム運動
バトケンにおける最初の紛争
イエロー・ウォールを登る
虐殺〔ほか〕