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「みかづき」森絵都

2016年11月29日 20時38分16秒 | 読書(小説/日本)

みかづき
「みかづき」森絵都

とても面白かった。
昭和36年、大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親とともに学習塾を立ち上げる。
その子どもたち、さらに孫の世代と時代は移り変わっていく。
「塾」「教育」をテーマにした戦後史とも言える。
この作品を見逃してはいけない。
お薦めです。

P6
勉強ができない子は集中力がない。集中力がない子は瞳に落ちつきがない。この〈瞳の法則〉を見出して以来、吾郎はまず何よりも彼らの視線を一点にすえさせることに腐心した。

P25
「大島さん。私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです。太陽の光を十分に吸収できない子どもたちを、暗がりの中に照らす月。今はまだ儚げな三日月にすぎないけれど、かならず、満ちていきますわ」

【おまけ】
久しぶりに、森絵都作品を読んだ。
もし、(本作以外で)森絵都ベスト3を選ぶとしたら…。

永遠の出口 カラフル DIVE!!〈1〉前宙返り3回半抱え型 

【ネット上の紹介】
昭和36年。小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。ベビーブームと経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い―。山あり谷あり涙あり。昭和~平成の塾業界を舞台に、三世代にわたって奮闘を続ける家族の感動巨編!