「失踪.com 東京ロンダリング」原田ひ香
これはおもしろかった。
ひとつひとつの章が、独立した短編のようになっている。
登場人物の感情が丁寧に描かれていてレベルが高い。
通して読むと、それぞれの章に繋がりが出て来るのが解る。
ミステリ仕立ての趣向になっている。
妻から離婚を告げられる夫…この科白は怖い!
P97
「あなたから取れるものは、すべてしぼりとるつもり。ケツの毛一本だって逃がさない。一生、私たちに尽くすのよ。かりんとも会わせない。無駄遣いしないようにね。再婚なんてできないようにしてやる。覚悟しておいた方がいい」
P137
「若い人は二言目にはプライバシー、プライバシーって言うけど、プライバシーじゃ飯食えないんだから。プライバシーを飛び越えて、できたつながりとか、関係だからこそ、お互い面倒も見るし、迷惑と感じないようになるんだよ。(後略)」
本作品は「東京ロンダリング」の続編であるが、前作を読んでいなくても、十分楽しめる。
(もちろん、読んでいたら、より楽しめる)
久しぶりに、原田ひ香作品を読んだが、進化していた。
嬉しい驚きである。
他の作品も読んでみようと、って気になった。
「東京ロンダリング」原田ひ香
【ネット上の紹介】
事故物件に住み部屋をロンダリング(浄化)する人材を斡旋する相場不動産。ある時から、なぜかその関係者が次々と相場不動産を離れていく。背後に妨害工作の動きを察知し、調査を始めた仙道は、とある事実を突き止める。相場と共に、巨大勢力と戦おうと立ち上がった仙道が決断したこととは…。