「がんばらない介護」橋中今日子
介護で生じる疑問を、分かりやすく的確に回答してくれる。
著者は、認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟を1人で21年間介護という実績の方。
只者ではない。
1人を介護するだけでも大変。
3人なんてとても無理。それも21年…。
がんばっても10年くらいでしょう。
P34-35
汚れた下着や廊下に落ちている排泄物、壁に残る手の跡などの写真はインパクトがあるでしょう。
(中略)
トイレの失敗を含め、ふだんとの違いを動画や写真で見せるのは、有効な手段です。
P67
いざデイサービスなどを利用すると、別居しているきょうだいや親戚から「もう少し在宅でがんばれるのでは…」と言われて躊躇しがちですが、気にすることはありません。
P103
とくに認知症の場合、日中と夜間の落差が激しく、ケアマネと話しているときはしゃんとしているのに、夜になると騒いだり、動き回ったりするケースは珍しくありません。
P130
質問:「夫の両親の介護で悩んでいます。夫が亡くなって10年がんばってきましたが、夫にはきょうだいもいるのに、知らん顔で丸投げされています。私だけが長男の嫁として、このまま耐え続けなければいけないのでしょうか?」
回答:Qさんにお伝えしたのは、「姻族関係終了届」の存在です。
(中略)
書類は市区町村にあり、必要事項を記入するだけで手続きは完了します。
配偶者の家族・親族に了承を得る必要はなく、自分の意思のみで提出できます。なお、この届けを出しても、遺産や遺族年金の受け取りに影響がありません。(これ以上ないほどの的確な回答だ!)
【参考リンク】
「死後離婚」
介護に疲れたとき、心が軽くなるヒント
【ネット上の紹介】
認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟を1人で21年間介護し続ける理学療法士だから知っている、介護の心を軽くする36のコツ だいじょうぶ。もっとラクなやり方、ありますよ
第1章 「1人でがんばらなくていいんですよ」―介護保険制度やサービスを使いこなす方法(「どこに相談すればいいの?」迷ったら“介護のよろず相談所”地域包括支援センターへ
「制度が複雑でわからない…」介護のことは自分で勉強せず、専門家に聞くのが早い ほか)
第2章 「仕事を辞める必要はないんですよ」―介護と仕事を両立させる方法(「介護の大変さ、わかってほしい」1人で抱え込まず、愚痴や弱音を吐ける相手や場所をつくる
「特別扱いはできないよ」介護休暇をフル活用し、有給休暇は自分のために使う ほか)
第3章 「家族だからって辛抱しなくていいんですよ」―家族間のトラブルを解決する方法(「あの親の介護をなぜ私が?」関係がよくない親なら、愛ある介護じゃなくていい
「私1人に押しつけないで!」きょうだいとは得意なことを分担、親戚はイイトコどりで ほか)
第4章 「息抜きの時間が一番大切なんですよ」―“介護うつ”にならない方法(「施設に行かせるのはかわいそう」親がいやがるのは最初だけ。介護サービスはどんどん利用する
「入浴や食事をゆっくりしたい!」介護の場から完全に離れて、自分の時間をつくる ほか)
第5章 「自分の人生を優先していいんですよ」―介護で人生をあきらめない方法(「たびたび帰省する時間がない」遠距離介護こそ、介護サービスをフル活用する
「私だけ幸せになっていいの?」介護を理由に、恋愛や結婚をあきらめてはいけない ほか)