【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「六月の雪」乃南アサ

2018年11月19日 22時46分19秒 | 読書(台湾/中国)


「六月の雪」乃南アサ

杉山未來は祖母と二人で暮らしている。
祖母は台湾で生まれ、女学生の時、現地で敗戦を迎える。
祖母の入院を契機に、台湾を訪問しようと決意する。
現地の人々に助けられながら、祖母が通った学校や、生家を探すが、
そこには、かつて日本の植民地だった痕跡が数々残っていた。

思った以上に面白かった。
乃南アサさんは、歴史に絡ませた長篇が上手い。
「水曜日の凱歌」然り、「地のはてから」然り、「火のみち」然り。




【おまけ】
洪春霞(こうしゅんか)のキャラクターが生き生きとしている。
彼女がいなければ、もっと暗い作品になった、と思う。

【蛇足】
乃南アサさんは、短篇より長篇の方が巧いし面白いと感じる。
逆に、永井するみさんは、長篇より短篇の方がいい。
池波正太郎さんも、同様に感じる。

【ネット上の紹介】
入院した祖母を元気づけるため、32歳になった杉山未來は祖母の生地である台湾の古都、台南を訪れる。優しくてなぜか懐かしい国。そこで未來は戦前の日本人の涙と無念を知り、台湾人を襲った悲劇に驚く。そしてようやくたどり着いた祖母の生家は、地獄の家へと変わり果てていた。「わたしは誰も愛さないなんて生き方はしたくない!」そのとき未來が下した人生の決断とは―。