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「火環 八幡炎炎記 完結編」村田喜代子

2018年11月30日 20時05分10秒 | 読書(小説/日本)


「火環 八幡炎炎記 完結編」村田喜代子

先日読んだ「八幡炎炎記」の続編にして完結編。
ヒナ子の小学校から、中学、高校卒業まで描かれる。
周りの大人たち、友人たちも丁寧に書かれている。
ヒナ子は群像劇の一人、と言った描かれ方。

ヒナ子は映画とシナリオに興味を持つ。
『裸の島』に感動するが、祖母のサトにボロカスにけなされる。
P302-304
「あれは虚言の映画や!」
(中略)
「人間一人焼くとに、あんなチョロチョロ火でやけるもんじゃなか。」
(中略)
「お前の好きな映画監督がどのくらい偉いが知らんが、人の生き死にの有り様ばわかっとらん。」
(ここは実際読んでみて、サトの言うことに納得)

八幡製鐵の社員の話
P284
「鉄だけじゃなくて人間も酸化しますよ」
「馬鹿をおっしゃる」
「ははは、それを老化というんです。酸素で体がさびるわけ。活性酸素って言います。働き過ぎない方がいい。錆びるからね、おやじさん」

【誤植】

こんな誤植は珍しい!長い読書生活で初めて。(P142)
他にも誤植があったが、こちらのインパクトが大きかったので、他は流した。
平凡社編集部の方、校正はどうしたの?

【ネット上の紹介】
中学生ヒナ子は製鉄の街を飛び出し、映画の世界を夢見て上京をもくろむが…。名もなき人々が煩悶しながら戦後の激動を火のように生きる、著者初の本格自伝的小説・完結編!