「その子の「普通」は普通じゃない 貧困の連鎖を断ち切るために」富井真紀
宮崎県で「子ども食堂」などの支援活動をしている著者による
子ども貧困問題をテーマにした作品。
自伝が大半を占めるが、実態が非常にリアルに再現される。
父はギャンブル依存症、母は著者を産んだ半年後に失踪。
中学卒業後、家出をして東京へ行く、年齢を偽って夜の仕事をするが、
そのスナックに警察の手入れが入る
P85
「万事休すだ、宮崎に送り返される!ばあちゃんは泣くだろうな、お父さんは怒りまくるだろうな。でも、これも自業自得だ」。
あきらめた瞬間、ママが私の頭を思いっきり押さえつけて、カウンターの下にもぐらせた。そして耳元で、「裏口から走って逃げな!二度と戻って来るんじゃないよ!元気で生きなよ!」と、囁いた。
保険証が失効した場合の対処
P146
今なら「無料低額診療」という制度があります。生活保護受給者であるとか低所得者であるなどの経済的理由や、DVの被害者で住民票を移したなどの事由から、健康保険証をもっておらず、病院にかかれない人がいます。そういう人を対象に、無料もしくは定額で、診療を受けられるようにする制度です。
ギャンブル依存症の父との縁を切るための努力
P159
私という身内がいるのにもかかわらず、父を生活保護受給者にする。それでも父のケースは不正受給に相当しないことを知り、安心したのです。
この時から父は私の家を出て、生活困窮者を支援する団体に紹介された住居でひとり暮らしをすることになりました。
姉とも縁が切れる
P162
姉の人生は姉のもの、私の人生は私のもの。
苦しかろうと楽しかろうと、それぞれの人生。
そう考えることにしました。姉の存在が私に苦痛をもたらすものなら、離れて行ってもかまわない。もう探さない、もう意識しない、それでいいと思っています。
今でも姉の消息は不明なままです。生きているのか死んでいるのかさえわかりません。
【感想】
産みの母と一度だけ会うシーンがある。
しかし、感動の再会と思ったら、娘に金の無心をする。
著者はこれにより、母と縁を切る・・・そのシーンも印象深い。
読んでいて、格差とはこういうことか、と。
負の連鎖を断ち切るためのヒントがある。
読んでみて。
【ネット上の紹介】
自らも壮絶な半生を乗り越え、児童虐待防止の活動や、「子ども食堂」など生活困窮者への取り組みがメディアでも大きな反響を呼んでいる著者の、「負の連鎖を断ち切るため」のリアルな提言。子どもの7人に1人が貧困というこの国で私たちにできることが、きっとあります。
目次
その子の「普通」は普通じゃない
親の人生に巻き込まれる子どもたち
食べるためにたどりがちな道
気がつけば虐待する親に
その日暮らしの金銭感覚
「普通の家庭」がわからない
親の人生に巻き込まれる子どもたち
食べるためにたどりがちな道
気がつけば虐待する親に
その日暮らしの金銭感覚
「普通の家庭」がわからない