「信太郎人情始末帖」シリーズ 杉本章子
信太郎人情始末帖シリーズ全7巻を読んだ。
これは面白かった。
最初、ミステリ要素の高い捕物帖であったが、
「火喰鳥」あたりから家族小説になってきた。
どちらも面白いが、私の趣味としては後半の方がより面白く感じた。
だから、最後の4冊は1日2冊のペースになった。
この面白さは、宇江佐真理さんの「髪結い伊三次」シリーズに匹敵する。
ということは、相当な面白さ、と言うことだ。
「髪結い伊三次」シリーズ同様、繰り返し読みたくなる内容だ。
タイトルは次のとおり。
第1巻『おすず』
第2巻『水雷屯』
第3巻『狐釣り』
第4巻『きずな』
第5巻『火喰鳥』
第6巻『その日』
第7巻『銀河祭りの二人』
まだ続けようと思えば続編が出そうな終わり方だけど、もう出ない。
なぜなら、著者が亡くなっているから。
2015年12月4日、乳癌で死去、62歳とある。
ちなみに、宇江佐真理さんと親しかったそうだ。
宇江佐真理さんは、同じ年の前月の11月7日、66歳で亡くなっている。
同じく、乳癌である。
お互い寂しくないように、連れ添って亡くなったかのようだ。
未読の方は、本シリーズも、「髪結い伊三次」シリーズもお薦め。
読んでみて。
【注意】
文庫本で読んだ場合、1巻目の「解説」を読んではいけない。
2巻目以降の物語の流れをネタバレさせているから。
腹立たしいといか、怒りを感じる。
(素人の方なら分かる、プロがやったらアカンやろ)
(素人の方なら分かる、プロがやったらアカンやろ)
【おまけ】
昔は、時代小説というと男性作家ばかりだった。
今は、女性作家も増えた。
男性作家は、剣戟シーンが巧いが、登場する女性の描き方が平板で紋切り型になってしまうきらいがある。
女性作家は、登場する女性1人1人を個性的に描き分けている。
そこが魅力である。
その代わり、チャンバラ・シーンはないけど。
(秋山香乃さんは、女性作家だけど、剣戟シーンを描かれていて、けっこう巧い)
【ネット上の紹介】
おすずという許嫁がありながら、子持ちの後家と深みにはまり、呉服太物店を勘当された総領息子の信太郎。その後おすずは賊に辱められ、自害して果てた。「一度だけ」とおすずが身を預けてきたあのとき、願いをきいてあげていたら…後悔の念を抱きながら、信太郎は賊を追う―。平成14年度中山義秀文学賞受賞作。