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「沖縄アンダーグラウンド」藤井誠二

2019年07月12日 21時17分23秒 | 読書(沖縄・八重山)
「沖縄アンダーグラウンド」藤井誠二
 
沖縄裏面史の力作。
 
戦後まもないころ・・・女性の証言
P31
戦後どさくさの時代、米兵による婦女暴行がなにより怖かった。私たちは芋掘りに行くときは集団で出かけ、米兵が現れると、一目散に逃げたものだった。逃げ遅れた女性は彼らに手ごめにされた。私の知っている女性もつかまえられて、米兵に強姦された。
 
P80
内地の人からは、沖縄は血縁関係の身内意識がしっかりしているから家族同士の面倒見は手厚いだろうと思われがちですが、実際はそうではないんです。内側のまとまりが強すぎて、少しでもそこから外れた女の子は逆に強くはじき出されてしまうんです。
 
P200
「米軍に捕まると男は戦車の下敷きにされ、女はなぶりものにされる」というプロパガンダは本当だった。
 
P224
まず歴史的事実として、占領期の沖縄にはRAAは存在しなかった。アメリカも自前には慰安所をつくらなかった。「売春」を布告などで禁止し、警察に取締をさせる一方で、米兵の犯罪を放置に近い状態にしておき、性病対策にのみ奔走した。
 
P261
奄美の女性が沖縄に行くということは、それはほとんど売春をしに行くことを意味していました。(中略)奄美だけでなく、宮古の人も差別されていて、沖縄で下宿をさがすときに『宮古人お断り』と書かれていたこともありました。
 
P265
奄美出身の女性たちは時に、漁村の村であった糸満に人身売買に近いかたちで売り飛ばされることもあった。これを「糸満売り」という。沖縄では、貧しい地域から糸満の漁師のところに「年季奉公」として10歳前後の子どもを売りわたす習慣が戦後まで続いていて、1955年に琉球政府によって廃止された。
 
P270
沖縄では、余所からきた者に対しての差別は僕が子どものころからあって、それがハーフの子どもに対してキツく出たんだけども、同時に近辺の宮古や石垣に対する差別もありました。
 
【ネット上の紹介】
二〇一〇年を過ぎた頃、「沖縄の恥部」とまで言われた売春街が、官民一体となった「浄化」運動によって消滅した。著者はその前からこの街に入り、売春に従事する女性、風俗店経営者、ヤクザなどに綿密な取材を行い、街の内実や市民社会からの偏見の構造を明らかにしてゆく。また著者は、この街ができるまでの歴史を辿る。売春街は、敗戦直後から沖縄で頻発した米軍兵士による凄まじい暴行事件への対応策でもあった。それは米国占領下に置かれた沖縄の戦後史と切り離せない関係にあったのだ―。浄化運動で消された「売春街」を丹念にルポルタージュし、沖縄の「もう一つの戦後史」を描き出す類例のない労作!
序章 眩い街へ、妖しい光へ
第1章 消し去られた街、生の痕跡
第2章 変貌する夜に生きる者たち
第3章 闇社会の収奪システム
第4章 娼婦とヤクザと革命―幻の映画『モトシンカカランヌー』の「アケミ」を捜して
第5章 歴史の底に置かれた売春女性―佐木隆三が見た沖縄
第6章 「レイプの軍隊」と沖縄売春史
第7章 売春街の子どもたち
第8章 浄化の論理と、夜の身体と
終章 作家・沖山真知子の記憶