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「歴史と戦争」半藤一利

2019年07月26日 22時08分34秒 | 読書(昭和史/平成史)
「歴史と戦争」半藤一利

過去の膨大な半藤作品をつなぎ合わせて、歴史を振り返る、って企画作品。
編集者の腕が問われる。

野上弥生子、昭和12年1月、年頭・新聞へ寄せて
P53
「・・・・・・たったひとつお願いごとをしたい。今年は豊作でございましょうか、凶作でございましょうか。いいえ、どちらでもよろしゅうございます。洪水があっても、大地震があっても、暴風雨があっても、・・・・・・コレラとペストがいっしょにはやっても、よろしゅうございます。どうか戦争だけはございませんように・・・・・・」(この願いは虚しかった)

ノモンハン事件から何を学べるか?
P71
「当時の陸軍エリートたちが根拠なき自己過信をもっていた」「驕慢なる無知であった」「当時のエリート意識と出世欲が横溢していた」「偏差値優等生の困った小さな集団が天下を取っていた」、一番最後に、「底知れず無責任であった」。これは今でも続いている。

【ネット上の紹介】
幕末・明治維新からの日本近代化の歩みは、戦争の歴史でもあった。日本民族は世界一優秀だという驕りのもと、無能・無責任なエリートが戦争につきすすみ、メディアはそれを煽り、国民は熱狂した。過ちを繰り返さないために、私たちは歴史に何を学ぶべきなのか。「コチコチの愛国者ほど国を害する者はいない」「戦争の恐ろしさの本質は、非人間的になっていることに気付かないことにある」「日本人は歴史に対する責任というものを持たない民族」―八〇冊以上の著作から厳選した半藤日本史のエッセンス。
第1章 幕末・維新・明治をながめて(江戸時代まであった、島国に生きる知恵
幕末期日本人の天皇観 ほか)
第2章 大正・昭和前期を見つめて(石橋湛山、大正十年の社説
母と、大正十二年の関東大震災 ほか)
第3章 戦争の時代を生きて(真珠湾攻撃大成功の報せを受けて
私の親父は“へん”だった ほか)
第4章 戦後を歩んで(戦後がはじまったとき
遮蔽幕がとれて ほか)
第5章 じっさい見たこと、聞いたこと(東京裁判を見に行った
陸海軍省がなくなってもなお ほか)