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「慈雨」柚月裕子

2019年08月24日 12時37分42秒 | 読書(小説/日本)
「慈雨」柚月裕子

警察を定年退職した神場は、妻と四国・巡礼の旅にでた。
霊場を巡りながらも、現在起こっている幼女殺害事件が気になり、部下と連絡をとる。
16年前の事件と酷似していたから。
アームチェア探偵ならぬ、お遍路刑事である。
妻、娘、部下とのやり取り、お遍路で出会う人々との描写がいい。

p172
「お遍路さんのはたいがいは、心になんか重たいもんを抱えていなさるけんど、あんたもそうなんじゃろ」
(中略)
「人生はお天気とおんなじ。晴れるときもあれば、ひどい嵐のときもある。それは、お大尽さまも、私みたいな田舎の年寄りもおんなじ。人の力じゃどうにもできんね。(後略)」

【ネット上の紹介】
警察官を定年退職した神場智則は、妻の香代子とお遍路の旅に出た。42年の警察官人生を振り返る旅の途中で、神場は幼女殺害事件の発生を知り、動揺する。16年前、自らも捜査に加わり、犯人逮捕に至った事件に酷似していたのだ。神場の心に深い傷と悔恨を残した、あの事件に―。元警察官が真実を追う、慟哭のミステリー。