「源平六花撰」奥山景布子
平家にまつわる女性達を描いている。
文章が美しく、読後感も良い。
これが一作目とは恐るべき実力。(それにしても、後に、幕末落語家群像を描くことになるとは誰も予想出来なかったでしょう)
P171
私は白拍子の静さまではございません。信太の森に棲処いたします、はい、狐でございます。
建礼門院について
P225
波間に漂う女の髪を、荒々しい手が引き掴む。
「そちらは女院におわしまする。非礼は赦されぬぞ」
P240
母さま、父さま。
私(わらわ)は、何故、今、生きているのでありましょう。
(建礼門院は気になる人物だ。大原に行ったら、寂光院に立ち寄りたい)
【ネット上の紹介】
矢を射た男と、扇をかざした女。男は女を欲し、女は海に囚われた。落日の平家をめぐる女人たちを華麗な筆致で綴る第87回オール讀物新人賞受賞作収録の処女短編集。